石川県能登半島の玄関口に構える宝達志水町が、今まさに観光のパラダイムシフトを迎えようとしています。宝達典久町長は、町に眠る膨大なポテンシャルを「稼ぐ力」に変えるべく、攻めの姿勢を鮮明に打ち出しました。
町内には日本で唯一、車やバイクで砂浜を快走できる「千里浜なぎさドライブウェイ」という世界級のスポットが存在します。SNS上では、夕日をバックに波打ち際を走る写真が「映えすぎる」と、ライダーや写真愛好家の間で連日話題を呼んでいます。
しかし、2019年5月に開催され、全国から4000人以上を動員したバイクイベントでは、町内に宿泊した参加者が200人にも満たないという、もどかしい現実が浮き彫りになりました。素晴らしい資源がありながら、素通りされてしまう現状に町長は危機感を募らせています。
職員全員がマーケターに!デジタルによる意識改革の衝撃
町長が打ち出した打開策は、極めて斬新です。なんと役場職員全員に、IT大手グーグルのデジタルマーケティング講座の受講を義務付けました。これは自治体組織としては極めて稀な、徹底した「デジタル化」への舵切りと言えるでしょう。
デジタルマーケティングとは、インターネットを通じて消費者の行動データを分析し、最も効果的なターゲットに情報を届ける手法を指します。誰に、いつ、どんな魅力を伝えるべきか、職員自らがデータに基づいた戦略を練る体制を整えようとしているのです。
私は、この「自分たちで発信する」という決断を高く評価します。外部のコンサルタントに丸投げするのではなく、地域を愛する職員自身がスキルを磨くことで、言葉に魂が宿り、結果として長期的なコスト削減と自走可能な組織作りにつながるからです。
伝統と革新の融合!金山から高級フルーツまで広がる商機
宝達志水町には、1房120万円もの高値で取引される高級ブドウ「ルビーロマン」の生産量県内1位という実績や、歴史ある宝達山の金山跡といった強力なコンテンツが揃っています。これらを点から線へとつなげる動きも加速しています。
2019年10月には、金箔の名門「箔座」と連携協定を締結し、金沢や東京の拠点を活用したPRを開始しました。さらに、2019年8月22日から4日間にわたり銀座で開催された物産フェアでは、都市部の消費者へ直接その魅力を届けるなど、積極的な外販も展開しています。
町長は、外部の専門家を「副業」として登用する構想も持っており、金沢や首都圏の知見を取り入れることで、知名度の壁を突破しようとしています。能登の入り口を「通過点」から「滞在地」へ変える挑戦は、地方創生の新たなモデルケースとなるでしょう。
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