私たちの生活に欠かせない銀行口座のあり方が、今まさに大きな転換点を迎えています。メガバンク最大手の三菱UFJ銀行は、2年間取引がない「不稼働口座」を対象に、年間1200円の手数料を徴収する検討を開始しました。これは、2020年10月以降に新しく開設される口座が対象となる見通しです。
「不稼働口座」とは、長期間出し入れが行われず、眠ったままになっている状態を指します。SNSでは「ついに来たか」「休眠口座の整理を急がなきゃ」といった驚きの声が広がっており、これまで当たり前だと思っていた「口座維持費無料」という常識が揺らいでいることに、多くの人が敏感に反応しているようです。
具体的なスケジュールとしては、2020年7月頃に顧客への周知が行われ、準備期間を経て秋から導入される予定となっています。まずは新規契約者が対象となりますが、三菱UFJ銀行は約4000万件もの個人口座を抱えており、そのうち約800万件が放置状態にあるとされています。
なぜ今、手数料が必要なのか?背景にある苦境
背景には、長引く超低金利政策によって、銀行が預金を企業に貸し出して利益を得る「利ざや」という仕組みが限界に達している現実があります。特に日本銀行が2016年から継続しているマイナス金利政策は、銀行の本業である融資ビジネスに深刻な打撃を与え続けているのです。
さらに、近年はマネーロンダリング(資金洗浄)対策としての本人確認作業や、サイバー攻撃から資産を守るためのシステム改修に莫大なコストがかかっています。マネーロンダリングとは、犯罪で得た「汚れたお金」を、架空口座などを経由させて「綺麗なお金」に見せかける行為で、その防止は国際的な課題となっています。
こうした維持コストの増大に加え、紙の通帳についても1口座あたり年間200円の印紙税が発生しており、銀行側の負担は限界に達しています。私は、今回の決断は「金融インフラを維持するための苦渋の選択」だと感じます。利便性と安全性を保つためには、相応のコストを誰かが負担せざるを得ません。
広がる手数料改定の波と私たちの対応
三菱UFJ銀行は、不稼働口座の手数料以外にも、他行宛ての振込手数料や店頭での両替手数料を、2020年春以降に引き上げる方針を固めています。また、デジタル化を推進するために紙の通帳を有料化する流れも加速しており、従来の「対面・紙ベース」のサービスは高級なものへと変化しています。
海外に目を向ければ、イギリスやアメリカでは金融サービスに手数料を支払う文化が根付いています。日本でも最大手の三菱UFJ銀行が動いたことで、追随する地方銀行が現れるのは時間の問題でしょう。これからは、必要最小限の口座だけを持ち、賢く管理する「口座のスリム化」が求められる時代です。
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