最近、地方の金融機関を中心に「休眠口座」へ手数料を課す動きが急速に広がっていることをご存じでしょうか。愛知信用金庫は2019年10月、長期間使われていない口座に対して管理手数料を導入することを正式に決定しました。具体的には2020年01月以降に新しく作られた普通預金口座が対象となります。
対象となるのは、2年以上も入出金などの動きがなく、さらに残高が1万円に満たない口座です。金融機関から郵送で通知が届いても3カ月間反応がない場合、年間1200円(税別)が自動的に引き落とされます。もし残高が足りなければ、その口座は自動的に解約される仕組みとなっており、まさに「放置厳禁」の時代が到来しています。
なぜ今、手数料が必要なのか?背景にある深刻なコスト問題
金融機関がここまで厳しい措置に踏み切る背景には、無視できない維持費の増大があります。実は、銀行が口座を一つ維持するだけで、システム利用料や人件費、さらに「マネーロンダリング(資金洗浄)」対策の費用など、年間で約2000円ものコストが発生しているという試算もあるのです。
ここで言うマネーロンダリングとは、犯罪などで得た汚れたお金を、架空の口座や他人の口座を転々とさせることで、出所を分からなくする不正行為を指します。使われていない口座は、こうした犯罪の温床になりやすいため、監視を強化する必要があるのです。地方金融機関にとっては、この管理コストが経営を圧迫する重荷となっています。
SNS上では「勝手に手数料を取られるのは納得がいかない」という厳しい意見がある一方で、「不正利用されるくらいなら解約して整理すべき」「銀行もボランティアではないから仕方ない」といった、維持コストの発生を理解する冷静な声も目立ち始めています。
地方から始まる金融改革とメガバンクの動向
この改革の波は愛知県だけにとどまりません。2016年には岡崎信用金庫、2018年04月には岐阜県の十六銀行が導入しました。2019年に入ってからも、04月に蒲郡信用金庫、10月に豊田信用金庫や山梨信用金庫が続き、2020年04月には福岡県のおおかわ信用金庫も開始を予定しています。
私は、この動きは単なる「コスト削減」以上の意味を持っていると感じます。地方は人口減少や長引く低金利政策により、都市部以上に厳しい環境に置かれています。口座手数料をきっかけに顧客へ連絡を取り、最新のニーズを掘り起こして保険商品の提案などにつなげようとする、生存をかけた積極的な攻めの姿勢が見て取れるからです。
今のところ、三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクは顧客の反発を懸念して慎重な立場を崩していません。しかし、一部の幹部からは導入の意義を認める声も出始めています。自分たちの預金が「無料」で守られる時代は終わりを告げようとしており、今後は私たち自身が賢く口座を管理する意識を持つべきでしょう。
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