日本の食卓に欠かせない「そば」の原料事情に、いま大きな異変が起きています。2019年12月06日現在の市場動向によれば、国内産の玄ソバ(殻がついた状態のソバの実)が、なんと5年ぶりの安値を記録しました。2018年産と比較すると4割も下落するという、驚きの展開を迎えています。
国産がこれほど手頃な価格になる一方で、実は私たちが普段口にするそばの7割から8割を占める「輸入品」は、対照的に価格が跳ね上がっています。このアンバランスな状況が、街のそば店や大手チェーンの経営に深刻な影を落としているのです。SNS上でも「国産が安いなら安くなってほしい」という切実な声が上がっています。
世界的な干ばつが直撃!輸入品ソバが品薄に陥る理由
なぜ、これほどまでに輸入品が高騰しているのでしょうか。その主な要因は、主要生産国を襲った深刻な気象災害にあります。北米の2019年産は、産地の干ばつによる減産が響き、2019年12月上旬時点で45キロあたり7200円前後と、前年同期比で1割も上昇してしまいました。
さらに厳しいのが中国産です。世界最大の生産国であるロシアが干ばつに見舞われ、カザフスタンやウクライナといった周辺国も不作となったため、世界中の需要が中国産に集中しました。その結果、大粒の中国産は約2割高い5700円程度で取引されており、まさに「少ない原料を世界で取り合う」という異常事態です。
中国国内でも、農家が他の作物へ転換したことで作付け面積が減少しており、さらに中国自体の消費量が増えたことで輸出に回る分が削られています。このように、供給不足と需要拡大が同時進行する「ダブルパンチ」の状態が、日本への輸入価格を押し上げる直接的な原因となっているのです。
人気チェーン「ゆで太郎」も断腸の値上げへ
こうしたコスト増の影響は、すでに消費者の財布を直撃し始めています。中国産や北米産を主力原料として使用している大手チェーン「ゆで太郎システム」は、原料高騰を理由に2019年10月から一部商品の価格改定に踏み切りました。低価格を武器にしてきたそば店にとって、この決断は非常に重いものだったはずです。
編集者の視点から言えば、国産が安いならそれを使えばいいのでは?と考えがちですが、安定した供給量と価格のバランスを考慮すると、急な切り替えは容易ではありません。しかし、輸入頼みの危うさが浮き彫りになった今、私たちは改めて「食の安全保障」や国産品の価値を見直すべき局面にあるのではないでしょうか。
今後、輸入品をメインに扱う他のそば店でも、追随する形で値上げの動きが広がる可能性は極めて高いでしょう。国産が豊作で安価という明るいニュースがありながら、世界の食糧情勢に翻弄される日本のそば文化。年越しそばの季節を前に、一杯のどんぶりに込められた厳しい現実を噛みしめることになりそうです。
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