新潟県阿賀野市の豊かな恵みが、これまでにない全く新しいブランド魚を誕生させました。安田温泉やすらぎは、2019年11月15日、温泉水と地元の名産品を掛け合わせた革新的な手法で育てた「ゆたからサーモン」の初出荷を発表したのです。このプロジェクトは、地域の伝統である安田瓦の廃工場を再利用しており、まさに郷土愛の結晶ともいえる取り組みといえるでしょう。
今回の養殖における最大の特徴は、エサに隠された驚きの秘密にあります。地元の有名メーカーであるヤスダヨーグルトから提供された「ホエイ(乳清)」を贅沢に使用しているのです。ホエイとは、ヨーグルトやチーズを作る過程で固形分と分離した液体を指しますが、実はビタミンやアミノ酸が凝縮された栄養の宝庫です。これを配合飼料に混ぜることで、魚の健康を支えつつ、質の高い身を育むことに成功しました。
SNS上では、この異色の組み合わせに対して「ヨーグルトで育つサーモンなんて想像がつかない!」「阿賀野市のこだわりが詰まっていて食べてみたい」といった驚きと期待の声が続出しています。さらに、抗酸化作用を持つアスタキサンチンを加えることで、鮮やかなオレンジ色の身を実現しました。脂の乗りも抜群で、関係者向けのお披露目会ではその濃厚な味わいに絶賛の声が寄せられたほどです。
最先端の「環境閉鎖型」陸上養殖で挑む地域再生
このプロジェクトを支えているのは、新潟市に拠点を置くカサイと共同開発した「環境閉鎖型」の陸上養殖システムです。これは海ではなく陸上の水槽内で水を循環させ、外部環境から隔離して飼育する手法を指します。天候や荒波の影響を一切受けず、病気の侵入も防げるため、極めて安全で安定した生産が可能となります。新潟県内では初となるこの試みは、水産業の未来を照らす希望となるでしょう。
かつて安田瓦の生産で活気に満ちていたこの地域も、ライフスタイルの変化によって空き工場が目立つようになっていました。プロジェクトリーダーを務める木村正人氏は、地元の風景が失われることに危機感を抱き、工場の有効活用を模索してきました。瓦づくりの歴史が刻まれた空間が、今やサーモンが泳ぐ水槽へと生まれ変わり、地域経済を再び活性化させる拠点として息を吹き返したのです。
世界的にサーモンの需要が高まり輸入価格が高騰する中で、安心・安全な国産サーモンへの期待は高まる一方です。2019年11月27日からは新潟伊勢丹にて期間限定の販売が始まり、2020年3月にはスーパーでの一般販売も計画されています。阿賀野の温泉、ヨーグルト、そして瓦の伝統。これら全てが溶け合った「ゆたからサーモン」は、地元の誇りを乗せて全国へと羽ばたこうとしています。
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