関西国際空港の対岸に位置する大阪府泉佐野市のりんくうタウンに、2019年12月、待望の「関空アイスアリーナ(仮称)」が誕生する予定です。この新しい施設は、国際規格のスケートリンクを備えた一大スポーツ拠点として大きな期待を集めています。運営を担う一般社団法人関空アイスアリーナの代表理事である森本靖一郎さんは、世界中から人々が訪れる魅力的な場所を作り上げようと、日々情熱を注いでいらっしゃいます。
このアリーナの最大の特徴は、フィギュアスケートやアイスホッケー、スピードスケートに対応しているだけでなく、本格的なカーリング場が2レーンも併設されることです。カーリングとは、氷の上で重い石を滑らせて円状の的を狙う、戦略性の高い冬のスポーツを指します。さらに、スケートリンクとしては非常に珍しく壁面に大きな窓が設けられており、関空を離着陸する飛行機を眺めながら滑走を楽しむことができるでしょう。
施設の傍らには「千松庵」と名付けられた風情ある茶室が設けられ、海外からの来訪者に向けて日本の美しいおもてなしの心を伝えていく工夫が凝らされています。SNS上でも「飛行機を見ながらスケートができるなんて最高にロマンチックですね」「茶室まであるリンクは世界でもここだけではないでしょうか」といった、オープンを待ちわびる好意的な反響が多数寄せられており、注目度の高さが伺い知れるはずです。
環境に優しい最新鋭の設備と関西スケート界の歴史
スケートリンクにとって高温多湿な環境は大敵とされていますが、その対策も実に画期的だと言えます。製氷時に発生する熱や水分を無駄にせず、隣接する敷地で水耕栽培ハウスの運営に再利用する計画が進められています。水耕栽培とは、土を一切使わずに水と液体の肥料だけで植物を育てる先進的な農業手法のことです。加えて、製氷後に削り取られた氷のくずを次の製氷作業の熱源として活用し、大幅なコスト削減を目指しています。
かつて大阪には大正時代の頃、日本初となる屋内スケートリンクが港区の市岡に建設されたという輝かしい歴史が存在します。最盛期には府内に10近くの施設がありましたが、高額な維持管理費が重荷となり、現在一年中滑走できる場所はわずか3カ所程度にまで減少してしまいました。もともと関西はスケート人気が非常に高く、競技を愛好する土壌がしっかりと根付いている地域なのです。
森本さんが関西大学の理事長を務められていた時期、高槻市内のリンクが閉鎖され、選手たちから練習場所を求める切実な声が上がったそうです。そこで彼はガスを活用して冷媒を循環させる独自の製氷技術を研究し、運営費を抑えることに成功しました。その結果、大学内に見事なリンクを開設し、宮原知子選手をはじめとする世界的なフィギュアスケーターを多数輩出する原動力となったのです。
アジアのハブから発信する新たな地方創生の形
こうした背景を踏まえ、森本さんはさらなるスケート振興のため、東南アジアなど世界中から人が集まる関空の対岸を新たな拠点に選びました。東南アジアでは近年スケート熱が高まっているものの、施設や優秀なコーチ陣が圧倒的に不足しているのが実情です。関空アイスアリーナが完成すれば、国内外の選手たちが集う国際的な合宿施設として、アジアのウィンタースポーツ界を牽引する存在になるでしょう。
大阪および関西エリアでは、2021年のワールドマスターズゲームズ関西の開催をはじめ、2025年の大阪・関西万博、そしてカジノを含む統合型リゾートであるIRの誘致など、大規模な計画が次々と控えています。IRとは、国際会議場やホテル、商業施設などが一体となった複合観光施設を意味します。豊富な観光資源と空港の利便性を活かし、スポーツと観光を融合させた新たなまちづくりがまさに始まろうとしています。
私はこの壮大なプロジェクトに触れ、スポーツの力で地域の魅力を底上げする素晴らしい取り組みだと強く感銘を受けました。産官学が連携して一つの目標に向かう姿勢は、これからの地方創生における理想的なモデルケースとなるはずです。87歳というご年齢でありながら、「理想を失う時に初めて老いが来る」という言葉を胸に未知の世界へ挑戦し続ける森本さんの熱き情熱に、心からの拍手を送りたいと思います。
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