中小企業の「働き方改革」リアルな生存戦略!人材獲得へ向けた残業削減と職場環境改善の取り組み

2019年4月に施行された「働き方改革関連法」をご存知でしょうか。これは働く人々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を目指すための法律です。この法律による残業時間の上限規制が、中小企業にも2020年4月から適用されます。

規制開始まで残りわずかとなる中、生き残りをかけて労働環境の改善に取り組む中小企業が増加しています。SNS上でも「納期を待ってくれる取引先は素晴らしい」「保育園併設の会社は素直に羨ましい」といった、前向きな取り組みを評価する声が多数見受けられるようになりました。

リクルートの調査によれば、従業員数が300人未満の企業における大卒求人倍率は8.62倍という驚異的な数字になっています。一方で5000人以上の大企業は0.42倍であり、その格差は歴然と言えるでしょう。採用難に直面する中小企業にとって、働きやすさのアピールはまさに急務なのです。

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製造業の決断:無理な受注を断り、効率化を図る

東京都八王子市で切断機製造を手掛ける「造研」は、取引先に対して納期の延長をお願いし、無理な受注を控えるという大きな決断を下しました。さらに作業工程を減らすための専用器具も独自に製作し、業務の抜本的な効率化を推し進めています。

その結果、かつては最大で月に80時間にも達していた個人の残業時間を、20時間から30時間程度にまで抑え込むことに成功しました。坂口社長は、求人票通りに休めない職場では採用が難しくなると危機感を抱いており、限られた時間で成果を出せる体制づくりに注力されています。

また、東村山市でソースを製造する「ポールスタア」の取り組みも非常にユニークです。営業担当者がスマートフォンから自社工場の生産計画をリアルタイムで確認できるようにシステムを整え、特注などの無茶な注文を取らない仕組みを構築しました。

さらに、業務に精通したベテランのパート従業員をラインの責任者に抜擢しています。製品ごとに細かく目標の生産時間を設定し、徹底的にムダを省いた結果、パート従業員の月の労働時間を約20時間も短縮できたそうです。現場を知る人材の活用が見事に功を奏した形ですね。

サービス業の工夫:役割の明確化と有給取得の促進

八王子市の結婚式場「八王子エルシィ」では、正社員とパートの業務を明確に切り分けました。正社員はシフト管理などに専念し、会場設営などはパートに任せる体制へと移行したのです。さらに、顧客が自ら注げるビールサーバーを導入し、配膳の手間も大きく省きました。

これらの工夫により、正社員の残業を見事にゼロへと削減しています。この取り組みは、2021年4月から中小企業にも適用される「同一労働同一賃金」への備えでもあります。これは正社員と非正規雇用者の間で不合理な待遇差を禁止し、同じ仕事なら同じ賃金を支払うべきとする重要なルールです。

一方、立川市の事務機器販売「東京西サトー製品販売」は、有給休暇の取得促進に力を入れています。2019年から年5日の有給休暇取得が義務化されましたが、同社は学校行事や看護などのために1時間単位で休める独自の制度をいち早く導入しました。

特筆すべきは、2019年3月に建て替えた自社ビル内に保育園を併設したことです。これにより、新しく採用した6人のうち5人が子育て中の女性となりました。柔軟な働き方と育児支援の両立は、若い人材を獲得するための強力な武器になっていると言えるでしょう。

編集者の視点:社会全体での意識改革が必要不可欠

今回ご紹介した各社の取り組みは、どれも素晴らしいアイデアと実行力に溢れています。しかし、これらはあくまで各企業による必死の自助努力であることを忘れてはなりません。中小企業が無理な働き方を強いられる背景には、大企業との力関係や取引構造の問題が深く潜んでいると感じます。

発注元である大手企業が「納期は絶対」と無理な要求を押し付け続ければ、下請け企業の残業は決してなくなりません。真の働き方改革を実現するためには、弱い立場にある中小企業に負担を強いるのではなく、社会全体で商慣習や取引のあり方を見直す意識改革が必要不可欠だと私は強く主張します。

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