【働き方改革の裏側】残業規制で非正規雇用が急増!企業の本音と人手不足対策の行方

雇用、労働、仕事、転職、就職

2019年6月13日、就職情報大手のマイナビ社が発表した企業向けアンケート結果は、2019年4月から順次施行された**「働き方改革関連法」が、日本の雇用構造に大きな変化をもたらしつつある実態を浮き彫りにしました。この法律の柱の一つである時間外労働の上限規制は、長時間労働の是正を目指すものですが、その影響で、正社員の残業時間が厳しく制限されることになり、企業は業務量をまかなう新たな労働力を確保する必要に迫られています。その結果として、非正規雇用の採用数を「増やした」と回答した企業が約4割(40%)にものぼったというのです。

これは、正社員の稼働が難しくなった業務領域を、パートタイムやアルバイトといった非正規の社員で補おうとする動きが企業間で顕著になっていることを示しています。この傾向は、特に人手不足が深刻な業種で目立っており、SNS上でも「結局、正社員の負担軽減のために非正規にしわ寄せがいっているのでは」といった懸念の声が散見されました。働き方改革が目指す「労働環境の改善」とは裏腹に、雇用形態の二極化が進む可能性について、注意深く見守る必要があるでしょう。

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建設ラッシュとサービス需要が加速させる非正規採用の波

では、具体的にどのような業種で非正規雇用が増加しているのでしょうか。今回の調査結果では、「増やした」と答えた企業を業種別で見た場合、「警備・交通誘導(セキュリティ・設備工事など)」が56%と最も高い割合を示しました。これは、2020年の東京五輪開催を控え、全国的に建設ラッシュが続いていることに伴う警備やインフラ整備の需要が背景にあると考えられます。この建設特需のピークに対応するため、多くの企業が緊急性の高い労働力を非正規で確保している状況が伺えます。

次に多かったのが、「接客(ホテル・旅館)」の53%です。インバウンド(訪日外国人観光客)の増加による宿泊需要の高まりや、サービス業全般での人手不足を背景に、柔軟なシフトに対応できる非正規の労働力が必要不可欠になっているのです。その他にも、「配送・引っ越し・ドライバー(陸運)」が47%、「製造ライン・加工(メーカー)」**が46%と続き、物流や製造といった慢性的な人手不足に悩む分野での非正規雇用の増加が鮮明になりました。

「正社員の置き換え」という危惧すべき動き

このアンケート結果で特に注目すべきは、「正社員を非正規に置き換える動きが目立っている」というマイナビ社の分析です。正社員の採用環境が非常に厳しい中、企業側が残業規制という新たな制約に対応するため、雇用調整のしやすい非正規雇用で人員を補う動きは、短期的な業務遂行には有効かもしれません。しかしながら、専門的な知識やスキルを持つ正社員の業務の一部が、待遇や雇用の安定性が低い非正規社員に置き換えられてしまうとすれば、これは日本の労働市場全体の質の低下につながりかねない、危惧すべき傾向でしょう。非正規雇用の「増加」ではなく、「戦力化」や「待遇改善」こそが、真の働き方改革の課題であると私は考えます。

この調査は、2019年5月10日から20日までの期間、インターネットを通じて実施され、直近半年間以内に非正規雇用の採用業務に携わった20歳から69歳の男女1,519人から回答を得たものです。多くの企業が、人手不足と残業規制の板挟みとなり、非正規雇用という形で現状を乗り切ろうとしている様子が読み取れます。今回の法改正が、結果として雇用の不安定化や賃金格差の拡大を招かないよう、今後の動向を注意深く追っていく必要があるでしょう。

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