【低金利時代を打破】大手生保が仕掛ける「私募REIT」戦略!地銀・機関投資家も注目する不動産投資の未来

長引く低金利環境のなかで、主要な生命保険会社(生保)が、機関投資家などのプロフェッショナルを対象とした不動産投資信託、すなわち私募REIT(プライベート・リート)ビジネスを強力に推進しています。特に、第一生命ホールディングスと日本生命保険といった業界のリーディングカンパニーがこの分野に注力しており、厳しい債券運用を補うための新たな収益源として、不動産投資の効率化を図っているのです。

この動きを具体的に見ますと、第一生命ホールディングスは、2020年4月にも私募REITを組成し、地方銀行(地銀)などへ販売を開始する予定です。そのため、2019年7月1日付で、私募REITの運用を専門とする新会社「第一生命リアルティアセットマネジメント」を立ち上げます。この新会社は、第一生命HDが7割、緊密な関係にある不動産管理会社である相互住宅が3割を出資する体制となる見込みです。

第一生命が開発する私募REITの構成比率は、東京23区を中心とする賃貸住宅が約7割、そして高齢者向け施設や保育所など生活密着型の施設が約3割という配分です。このREITは、2020年4月に300億円規模でスタートし、将来的には5年間で1000億円規模に拡大することを目指しているのです。

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私募REITとは?そのメリットと生保の戦略

ここでいう私募REITとは、Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)のうち、証券取引所に上場している一般のREIT(J-REIT)とは異なり、機関投資家や金融機関、事業法人など、プロの投資家に限定して販売される金融商品です。投資家から集めた資金で複数の不動産を購入し、賃料収入や売却益を分配金として支払う仕組みとなっています。生保にとっては、自社で保有する不動産をこのREITに売却することで、資産の入れ替え(アセット・リプレイスメント)を行い、運用効率を高められるという大きなメリットがあるのです。

第一生命は、現在約9000億円の投資用不動産を抱えていますが、賃貸住宅などの一部資産をREITに売却し、そこで得た資金を、例えば東京・虎ノ門の再開発案件への600億円の投資のように、より大型で収益性の高い案件に振り向けることで、資産全体の運用力を向上させたい考えです。また、REITを組成・販売することで、投資家から受け取る手数料収入という新たなビジネスモデルも構築できる狙いもあります。

日本生命保険もすでに2016年から私募REITの運用を開始しており、東京・大手町のオフィスビルなど保有資産の一部をREITに組み入れて、地銀や機関投資家に販売することで、同様に手数料収入の拡大を図っています。直近5年間でオフィスビル11件に2700億円を投資する計画があることからも、不動産への積極的な姿勢が伺えます。

なぜ生保は不動産に注力するのか?市場の反響とリスク

生保が不動産投資に積極的な最大の理由は、その運用利回りの安定性と高さにあります。現状の不動産運用利回りが3%弱であるのに対し、国債などの公社債運用利回りは2%弱と低水準にとどまっています。この利回り差を埋めるため、安定した賃料収入が見込める不動産への投資が、低金利で苦しむ生保にとって不可欠な選択肢となっているのです。

不動産証券化協会によると、私募REITの資産規模は、2019年3月末時点で約3.1兆円に達し、前年比で2割も拡大しています。投資家の内訳を見ると、地域金融機関が37%と最も多く、次いで銀行や保険などの中央金融法人が27%、年金が20%と続き、分散投資の観点からも、投資家の裾野が広がっていることが分かります。

SNSでも、「地方の金融機関にとって、信頼できる大手生保のREITは魅力的な分散投資先だ」「生保がこれだけ動くのは、やはり債券運用が厳しい証拠」といった声が上がっており、プロの投資家の間では大きな注目を集めています。

しかし、市場が拡大する一方で、リスクも指摘されています。近年、不動産価格が高騰しているため、収益性が下がり始めているのが現状です。三井住友トラスト基礎研究所の前田清能私募投資顧問部長からは、「投資家の期待利回りはリーマン・ショック前の水準を下回っている」という指摘もあり、高値掴み、つまり不動産を高い価格で購入してしまうリスクを避けながら、慎重に投資対象を見極めることが重要になってくるでしょう。

私見ではありますが、生保が単に不動産を運用するだけでなく、それを証券化して外部に販売することで、安定的な手数料収入を得るというビジネスモデルは、持続可能な収益基盤を構築するうえで非常に賢明な戦略であると言えます。しかし、不動産市場の過熱感には注意し、各社がどのような目利き力で物件を選別していくのかが、今後の鍵を握るでしょう。

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