今、長野県内の企業にとって「人手不足」は、経営を揺るがす喫緊の課題となっています。帝国データバンクが2019年の景気見通しについて県内企業に実施した調査では、景気への懸念材料として「人手不足」を挙げる企業が41.6%に上り、「消費税制」「原油・素材価格」に次ぐ3番目の多さとなりました。さらに、景気回復のために必要な政策としても「人手不足の解消」が46.3%で最多となっており、この問題がいかに深刻であるかが浮き彫りになっています。
こうした状況を受け、長野労働局は企業の採用活動を強力にサポートする取り組みを推進しています。特に注目すべきは、ハローワーク長野が2019年度から新たに設置した総合専門窓口「人材確保対策コーナー」です。このコーナーは、保育や建設、警備、運輸、介護、看護など、求人数は多いにもかかわらず、働き手を求める求職者の数が少ない傾向にある業種を重点的に支援するために設けられました。これらの業種では、必要な人材を確保できず、新規受注を控えざるを得なくなるなど、企業活動に悪影響が及んでしまうケースも発生しています。
この専門窓口での支援策の一つが、「ミニ就職相談会」の開催です。この相談会は、求人を出している企業が参加し、求職者に対して直接、会社の概要や具体的な求人内容を説明する場となっています。2019年5月末に長野市内で開催された第1回目の説明会には5社が参加しており、企業側にとっては、ハローワークに求人を出して応募を待つだけでなく、自社の魅力を直接伝えられる大きな利点があるでしょう。一方、求職者にとっても、求人票だけでは掴めない詳細な情報を得られる貴重な機会になるに違いありません。
このようなマッチング支援の試みは、ハローワーク松本がすでに先行して展開しています。松本では、2018年末に保育分野を対象とした相談会・面接会を実施し、これには6事業所が参加。結果として4人の採用が決定したという実績があります。長野労働局は、こうした事業者と求職者を直接つなぐきめ細やかなサポートを通じて、人手不足による県内企業への悪影響を抑制したいという強い意図が感じられます。
SNSでは、この取り組みに対し「待っているだけでは採用できない時代だから、ハローワークが動いてくれるのは助かる」「人手不足で仕事が回らない業種に特化するのは理にかなっている」といった、企業経営者や採用担当者からの期待の声が寄せられているようです。長野県の有効求人倍率は、2017年7月以降1.6倍台という高い水準が継続しており、2019年4月には前月を0.04ポイント上回る1.68倍に達しています。これは、求職者1人に対して1.68件の求人があることを示しており、「売り手市場」、つまり企業が採用に苦戦しやすい状況が続いているということです。
私見ですが、この長野労働局の取り組みは、現在の労働市場の状況を鑑みると、非常に時宜を得た重要な施策だと評価できます。従来の「待つ」採用活動から、「攻める」採用支援へと舵を切ったことは、深刻な人手不足に悩む地域企業にとって心強い一歩となるでしょう。特に、特定の業種に絞って専門的な支援を行うことで、より効果的なマッチングが期待できます。今後も、このような地道かつ戦略的な支援が継続され、企業と働き手の双方にとってより良い雇用環境が整備されることを強く期待したいものです。


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