大阪ガスの本荘武宏社長は2019年12月10日、日本経済新聞の取材に対し、2030年度までに達成すべき再生可能エネルギーの取扱目標を従来の2倍となる200万キロワットへ引き上げる方針を明らかにしました。この大胆な目標設定の背景には、エネルギー自由化によって電力小売りの競争が激しさを増す中、環境負荷の低減を求める企業ニーズが急速に高まっている現状があります。
現在、世界的には「RE100」と呼ばれる、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアチブへの注目が集まっています。日本国内でもこの動きに同調し、参加を検討する企業が続出しているのです。本荘社長は、将来的に消費者が電力会社を選ぶ基準は、単なる価格の安さだけでなく「どのような方法で発電されたか」という質の部分が重要になると分析しています。
SNS上では「インフラ大手がここまで踏み込むのは心強い」「再エネシフトの本気度が伝わってくる」といった期待の声が上がる一方で、供給の安定性を懸念する意見も見受けられます。大阪ガスは現在、バイオマス発電や陸上風力からの調達を中心に約30万キロワットの取扱量を確保していますが、200万キロワットという高いハードルを越えるためには、さらなる電源の多様化が不可欠と言えるでしょう。
洋上風力発電への挑戦と電源確保の課題
目標達成に向けた切り札として期待されているのが、2020年代に本格参入を予定している「洋上風力発電」です。これは海上に設置した大型の風車で発電する仕組みを指し、遮蔽物が少なく安定した強風が得られる海域を利用するため、従来の陸上風力よりも大規模かつ効率的な発電が期待されています。四方を海に囲まれた日本にとって、まさに次世代エネルギーの要となる手法です。
しかし、この壮大な計画の前にはいくつかの壁も立ちはだかります。本荘社長が「風力やバイオマスの適地が少なくなっている」と述べる通り、発電効率が良く、かつ周辺環境への影響が少ない建設場所の確保は年々難しくなっているのが実情です。そのため同社は、自社での施設建設に加えて、外部からの電力調達も大幅に強化していく戦略を立てています。
編集者の視点から見れば、今回の目標引き上げは、単なる数値の更新ではなく「ガス会社」から「総合エネルギー企業」への完全な脱皮を象徴するものだと感じます。気候変動問題が深刻化する今、供給側がどれだけ多様なクリーンエネルギーの選択肢を提示できるかが、企業の生存戦略に直結します。大阪ガスの挑戦は、日本のエネルギー市場全体に大きな刺激を与えることになるはずです。
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