日本の電機産業を牽引してきた巨人、パナソニックが大きな転換点を迎えています。2019年11月28日、同社は長年手掛けてきた半導体事業からの撤退を公式に発表しました。この決定は、わずか1週間前の液晶パネル生産終了に続くものであり、まさに「負の遺産」を一掃しようとする強い意志が感じられます。
市場はこの迅速なリストラを歓迎しており、発表直後の株価は一時前日比4%高を記録しました。SNS上でも「ついに決断したか」「寂しいが合理的だ」といった声が目立ちます。赤字が続いていた「液晶・半導体・太陽電池」の3事業に終止符を打つことで、まずは経営の健全化を優先させる狙いが明確になったといえるでしょう。
ソニーとの明暗を分けた「反転攻勢」のシナリオ
ここで気になるのが、ライバルであるソニーとの格差です。2012年当時に津賀一宏社長が就任した際、両社はともにテレビ事業の不振で苦しんでいました。しかし、2019年現在の株価を比較すると、ソニーが当時の約4倍にまで成長しているのに対し、パナソニックは約2倍に留まっています。この差は、構造改革後の「成長の種」の有無に起因しています。
ソニーはスマートフォンの「目」の役割を果たす「半導体画像センサー(イメージセンサー)」に集中投資し、世界シェアを独占することで最高益を更新しました。対するパナソニックは、米テスラ社と提携して車載電池に命運を懸けましたが、工場の立ち上げ遅延や中国勢の猛追により、黒字化のタイミングを逃し続けているのが現状なのです。
「くらしアップデート」は迷走を止められるか
津賀社長は2019年度中に「赤字事業を撲滅する」と宣言し、かつての看板だったテレビ事業すら縮小の聖域にしない構えです。さらに、外部から著名なアナリストやグーグル幹部を招聘し、ハードウェア単体ではなくソフトウェアを組み合わせた新しいビジネスモデルの構築を急いでいます。
しかし、新たな経営ビジョンである「くらしアップデート」という言葉に対しては、社内外から「具体像が見えにくい」との困惑も広がっています。構造改革で不採算部門を切り離す「守り」は進んでいますが、投資家が求めているのは、その先の「攻め」の柱です。100年続いた伝統ある企業が、真の脱皮を遂げられるのか。今まさに、その真価が問われています。
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