2019年10月1日に実施された消費税率の引き上げは、私たちの生活圏である九州・沖縄の経済に予想以上の影を落としています。九州経済産業局が2019年12月10日に発表した速報値によると、管内の百貨店とスーパーを合わせた既存店販売額は、前年同月と比較して10.1%も落ち込む結果となりました。この2ケタ減という数字は、単なる景気の冷え込み以上の深刻さを物語っていると言えるでしょう。
今回の急激な下落には、増税直前の9月に見られた「駆け込み需要」の反動が大きく関係しています。前回の増税時である2014年4月には7.5%の減少に留まっていましたが、今回はそれを大きく上回る冷え込みを見せています。SNS上では「9月に買いだめしすぎたから、10月は財布の紐が固くなるのも当然」といった声が相次ぎ、消費者の心理的なブレーキが如実に数字として表れた形です。
特に百貨店業界へのダメージは深刻で、販売額は15.6%減という極めて厳しい状況に直面しています。美術品や高級腕時計といった、いわゆる「高額品」の買い控えが目立っているようです。さらに追い打ちをかけたのが、2019年10月の異例の暖かさでした。例年であれば売れ筋となる高単価なコートなどの冬物衣料が、気温の影響で店頭に並んだまま動かなかったことも、減収に拍車をかけています。
一方でスーパーの販売額は7.3%減と、百貨店に比べれば下げ幅は緩やかでした。これは、生活必需品に対して税率を8%に据え置く「軽減税率制度」が一定の下支えとなったためでしょう。軽減税率とは、増税による家計への負担を和らげるために導入された仕組みで、酒類や外食を除く飲食料品などが対象となります。この制度のおかげで、食品関連の売り上げは比較的堅調に推移したと分析されています。
天候不順と新税制のジレンマ!今後の消費動向を読み解く鍵
しかし、同じスーパー内でも明暗は分かれています。軽減税率の対象外となる酒類や、百貨店と同様に冬物衣料品は大きく苦戦を強いられました。九州経済産業局の担当者も指摘するように、増税という制度変更に「天候」という不可抗力が重なったことが、前回以上の落ち込みを招いた主要因です。消費者はよりシビアに、必要なものとそうでないものを峻別するようになっているのではないでしょうか。
私自身の見解としては、この10%減という数字を単なる「一時的な反動」と楽観視すべきではないと考えています。現在はポイント還元事業などの対策も講じられていますが、消費者の防衛本能はかつてないほど高まっているようです。店舗側には、価格以上の付加価値や、増税分を補って余りある魅力的な体験の提供が求められています。SNSでは「キャッシュレス決済の還元でお得に買い物をする」という賢い層の投稿も目立ち始めています。
2019年10月という月は、九州・沖縄の流通業界にとって大きな転換点として記憶されることになるでしょう。増税後の「買い控え」の波をいかに乗り越え、冷え込んだ消費マインドをどのように再び温めていくのか。季節が本格的な冬へと向かう中で、年末商戦に向けた各企業の真価が問われようとしています。私たちは制度を正しく理解し、賢く消費を楽しむ姿勢を持ち続けたいものです。
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