【がん在宅医療】「在宅がん医療総合診療料」は本当に患者のため?緩和ケア医が指摘する制度の課題と改善策

住み慣れた自宅で療養を望む末期がん患者さんを支える医療保険制度に、「在宅がん医療総合診療料」という仕組みがあります。これは、患者さんのご自宅を医師と看護師が連携し、1週間のうち合わせて4日以上訪問した場合に、1週間分の診療報酬をまとめて請求できるという制度設計です。別の見方をすれば、仮に4日の訪問であっても、満額である1週間分の診療報酬を受け取れることになります。患者さんの在宅療養を経済的に支援し、質の高いケアを後押しするための大切な制度であると言えるでしょう。

しかし、この制度には、その運用のあり方に関して懸念点が指摘されています。それは、患者さんの病状や実際のニーズに関わらず、訪問診療の開始時点から、一律にこの「在宅がん医療総合診療料」を請求する医療機関が存在する可能性があるためです。この制度は訪問診療の開始時から適用可能とされていますから、患者さんやご家族からの要望がない段階であっても、「制度上、当然のこと」として、週に4日の医師・看護師による訪問が画一的に行われてしまうケースが考えられるのです。

長年にわたり緩和ケアに携わってきた医師の経験からすると、医師や看護師が週4日以上の頻度で訪問する必要が生じるのは、患者さんが最期の時を迎える前の1~2週間に集中することが多いそうです。しかも、これは全ての患者さんに当てはまるわけではありません。もちろん、重篤な状態の患者さんの場合は、訪問診療の開始当初から連日の訪問が必要になることもありますが、それはごく稀なケースでしょう。つまり、多くの患者さんは、在宅医療が始まった時点から週に4日もの高頻度な訪問を必要としないのが実情なのです。

この点を鑑みると、訪問診療開始時から一律に「在宅がん医療総合診療料」を請求する医療機関については、患者さんの真のニーズよりも、医療機関側の利益を優先し、制度を不適切に利用しているのではないかという疑念が浮かび上がります。患者さんにとって必要十分なケアを提供することは当然ですが、不必要な頻度での訪問は、かえって患者さんやご家族の負担となりかねません。また、限りある公的な医療資源の不適切な利用は、国民全体の利益に反するとも言えるでしょう。

この指摘に対し、SNSなどでは「そうだろうと思っていた」「本当に困った時に手厚くなるような仕組みにしてほしい」といった共感の声や、「訪問回数が多い方が安心できる患者もいるのでは?」という意見も見られ、在宅医療のあり方に対する関心の高さがうかがえます。特に、患者さんの状態が急変する可能性の高い終末期において、制度が柔軟に対応し、本当に必要な時に手厚いケアを受けられる設計が求められていると言えるでしょう。

筆者は、この「在宅がん医療総合診療料」という制度自体は、終末期のがん患者さんが自宅で安心して療養生活を送るために不可欠な枠組みだと強く考えています。しかし、その運用が「利益優先」となってしまっては、制度の持つ本来の目的から逸脱してしまいます。国民の皆さんの貴重な医療費を適切に使い、最も必要とする患者さんに質の高いケアを届けるため、制度を管轄する当局は、2019年6月22日時点でのこの状況を重く受け止め、何らかの見直しを検討すべきであると考えます。例えば、訪問頻度を必要とする病状の指標を設けるなど、患者ニーズに基づいた適切な請求がなされる仕組みへと改善されることを期待しています。

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