かつての苦境を乗り越え、名門・東芝がいよいよ反撃の狼煙を上げました。平田政善CFOは2019年12月12日までの取材に対し、経営の重荷となっていたリスク要因がほぼ解消されたとの認識を示しています。長らく不透明だった財務状況に一筋の光が差し込み、再建への手応えを強く感じさせる内容となっています。
特に注目すべきは、2021年3月期の連結最終損益における黒字化の可能性です。市場では883億円の黒字を予想する声が出ており、平田CFOもこの数字を「決して不可能ではない」と強気に語りました。SNS上では「ようやく東芝が戻ってくるのか」「キオクシアの動向が鍵を握りそう」といった期待と注目の声が広がっています。
キオクシアの回復と戦略的な事業再編
復活の命運を握るのは、4割を出資するキオクシアホールディングスです。持分法適用会社、つまり投資先の利益を自社の利益として計算する対象である同社は、スマホやデータセンター向け半導体の需要回復を受け、販売量と価格の両面で持ち直しを見せています。この「半導体市況の春」が、東芝の通期決算を大きく押し上げる原動力となるでしょう。
さらに、東芝は守りの経営から攻めの経営へとシフトしています。11月には上場子会社3社の完全子会社化を発表し、グループ全体のガバナンス強化と利益効率の向上に踏み切りました。こうした「親子上場」の解消は、株主からも効率的な経営判断ができると好意的に受け止められており、企業価値の底上げに直結する重要なステップと言えます。
また、エネルギー部門における不採算案件の整理や、デバイス部門での人員削減など、痛みを伴う構造改革も着実に成果を出しつつあります。これまで損益を圧迫していた米国でのLNG(液化天然ガス)事業という「負の遺産」も、売却損の計上が一巡することで、来期以降の収益を押し下げる懸念が払拭された点は非常に大きな前進です。
自己資本1兆円突破で見える成長への投資
2019年9月末時点で、東芝の自己資本は目標としていた1兆円の大台に到達しました。これは会社が持つ「正味の財産」が安定したことを意味します。この余裕資金を背景に、今後は身の丈に合ったM&Aも視野に入れています。平田CFOは、既存事業を補完する数百億円規模の案件に絞る方針を示しており、堅実ながらも着実な成長を狙う姿勢が鮮明です。
編集者の視点から見れば、今の東芝は「土台作りを終え、ようやくスタートラインに立った」状態です。売上高純利益率が依然として2%台に留まる点は、効率性の面で改善の余地があるでしょう。しかし、不透明なリスクを削ぎ落とし、筋肉質な体質へと変貌を遂げた今の東芝には、投資家のみならず多くのビジネスパーソンが熱い視線を送っています。
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