大戸屋がコロワイド傘下へ?筆頭株主交代で始まる「定食屋サバイバル」と買収戦略の全貌

外食チェーンの勢力図が大きく塗り替えられようとしています。居酒屋「甘太郎」などを運営する外食大手のコロワイドが、2019年10月01日付で、定食チェーン「大戸屋ごはん処」を展開する大戸屋ホールディングス(HD)の筆頭株主になりました。創業家から発行済み株式の18.67%を約30億円で取得したこの電撃的な資本参加に、株式市場も敏感に反応しています。

このニュースを受けて、2019年10月02日の市場では大戸屋HDの株価が一時半年ぶりの高値を記録し、コロワイドも6%近い上昇を見せました。SNS上でも「大戸屋の味が変わってしまうのか?」「居酒屋ノウハウが入ることで夜のメニューが充実しそう」といった期待と不安が入り混じった声が数多く上がっており、消費者の関心の高さが伺えます。

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コロワイドが描く3つのシナリオとは

M&A(合併・買収)によって急成長を遂げてきたコロワイドですが、今回の出資比率はまだ2割弱に留まっています。彼らが次にどのような一手を打つのか、考えられる戦略は3つあります。まず1つ目は、物流や食材調達における共通インフラの活用です。コロワイドは「牛角」や「かっぱ寿司」など約2500店舗を抱える巨大な仕入れ網を持っており、これを活用すれば大戸屋のコスト削減に大きく寄与するでしょう。

2つ目は、さらなる株式の買い増しによる経営権の掌握です。コロワイドは2021年までの中期経営計画で、積極的なM&Aによるシェア拡大を掲げています。大戸屋HDは現在、個人投資家が株主の多くを占めており、協議の進展次第では完全子会社化を目指す展開も十分にあり得ます。これまで数々のブランドを再生させてきたコロワイドの手腕が、定食業界でも発揮されるかが注目されます。

そして3つ目は、将来的な株式の売却です。過去には回転寿司のスシローと元気寿司の経営統合が破談になった例もあり、もし協業による相乗効果(シナジー)が得られないと判断されれば、保有株を手放す可能性もゼロではありません。しかし、足元で業績が苦戦している大戸屋にとって、大手との提携は喉から手が出るほど欲しい「再建の切り札」であることは間違いないでしょう。

編集者の視点:伝統の味と効率化の狭間で

大戸屋といえば、店内で出汁を引き、野菜をカットする「店内調理」への強いこだわりがファンを惹きつけてきました。一方で、効率を重視するコロワイドの経営スタイルが導入されれば、そのアイデンティティが失われるのではないかという懸念も拭えません。筆者としては、この資本参加が「単なるコストカット」に終わるのか、それとも「新しい定食の形」を生むのかが分かれ道になると考えています。

2019年03月期の決算で営業利益が前期比35%減と苦しむ大戸屋にとって、もはや自力での復活は容易ではありません。専門用語で言えば「スケールメリット」、つまり規模の経済を活かした経営体質への転換が急務です。コロワイドという強力なパートナーを得たことで、大戸屋がブランドの誇りを守りつつ、再び輝きを取り戻せるのか。外食業界の新たな歴史が今、刻まれようとしています。

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