インターネットの普及により、既存の紙媒体や放送局が大きな転換期を迎えています。そんな中、出版社やテレビ局のデジタル化を強力にバックアップする「INCLUSIVE(インクルーシブ)」が、2019年12月20日に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たすことになりました。証券コードは7078、まさにメディア業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる旗手として、投資家からも熱い視線が注がれているのです。
同社の核となる事業は、メディア企業が抱えるウェブサイトの価値を最大化させる支援業務にあります。具体的には、サイトの閲覧数を示すPV(ページビュー)やユーザーの訪問頻度、さらには年齢や性別といった属性データを緻密に分析。これらの数値を基にして、ターゲットとなる読者層を効率的に呼び込むためのサイト設計やコンテンツ制作の助言を行っています。2019年9月の時点で、すでに24社もの大手メディアを顧客に抱える実績を誇ります。
SNS上では「老舗メディアが生き残るには彼らのようなパートナーが不可欠」「データの裏付けがある編集力は強い」といった期待の声が目立っています。これまで勘や経験に頼りがちだった記事制作に、客観的な「データ分析」を導入する点は、今の時代において非常に合理的だと言えるでしょう。藤田誠社長は、記事の閲読効果を評価する独自のシステムについて、2年後を目処に外部への販売も計画していると明かしており、さらなる事業拡大が期待されます。
成長投資を優先し、メディアの未来を切り拓く戦略
今回のIPO(新規公開株)に伴い、藤田社長やベンチャーキャピタルが保有株の一部を売り出しますが、上場後も藤田社長が約7割の株式を保持し、筆頭株主として舵取りを続けます。調達した資金の使い道は、事業規模の拡大に伴うオフィスの移転や、より優秀な人材の確保に充てられる予定です。現在は「利益を配当に回すよりも、事業の成長を最優先したい」との方針から、当面の間は配当を行わない「無配」を継続する考えを示しています。
編集者の視点から見れば、良質なコンテンツを作るプロが、デジタルの領域で正当に評価される仕組みを作ることは、文化の継承という側面でも極めて重要です。2020年3月期の業績予想では、売上高16億5200万円、純利益2億800万円と堅実な数字が見込まれています。2019年12月12日から17日までの申込期間を経て、メディアの在り方を再定義する同社がどのような船出を飾るのか、その動向から目が離せません。
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