日本の法人税制が、2002年度の創設以来となる歴史的な転換期を迎えようとしています。2019年12月13日、政府・与党が発表した税制改正大綱により、従来の「連結納税制度」が「グループ通算制度」へと抜本的に刷新されることが決定しました。これまでは親会社がグループ全体の税金を一括して計算・納付してきましたが、新制度では各企業が個別に申告を行う形へと姿を変えます。
現在の連結納税制度は、グループ内の黒字企業と赤字企業の損益を合算できるため、組織全体の節税につながる大きなメリットがありました。2018年6月末時点では、親会社1,800社、子会社13,400社を超える企業がこの恩恵を享受しています。しかし、利便性の裏で「1社の計算ミスがグループ全社に波及し、再計算を余儀なくされる」という過酷な事務負担が、現場の大きな悩みとなっていました。
SNS上では「連結納税の修正作業から解放されるのは神アプデ」「経理担当の残業が減りそう」といった期待の声が上がる一方で、「移行作業が地獄になりそう」という不安も入り混じっています。新制度への移行は、単なる名称変更ではなく、煩雑な税務処理を「個別の修正」で完結させるための画期的な効率化といえるでしょう。実務に携わる方々にとって、この変化はまさに悲願の改革といえるかもしれません。
経済界の不安を払拭!維持される強力な税制優遇の仕組み
今回の見直しにあたり、多くの企業が最も危惧していたのは、グループ間での「損益通算」や「税優遇枠の共有」が廃止されるのではないかという点でした。損益通算とは、グループ内の利益と損失を相殺して課税対象額を抑える仕組みのことです。もしこれが失われれば、急激な増税を招きかねません。幸いなことに、新制度でも赤字と黒字を相殺できる仕組みは維持される方針となりました。
さらに注目すべきは、企業の研究意欲を支える「研究開発税制」と、グローバル企業に不可欠な「外国税額控除」の扱いです。研究開発税制は年間6,000億円を超える減税規模を誇る制度であり、外国税額控除は海外で支払った税金を国内の税金から差し引ける重要な仕組みです。これらについても、現行制度と同様にグループ内での枠の共有が認められることとなり、実務上のメリットは守られました。
私個人の見解としては、今回の改革はデジタル時代のスピード感に合わせた「攻めの合理化」だと評価しています。これまでは国税庁側も膨大な連結納税規定の管理に苦慮していましたが、制度が簡素化されることで、法改正のスピードも向上するでしょう。企業の事務負担軽減と、国の行政コスト削減を両立させるこの決断は、日本企業の国際競争力を支える一助になるはずです。
ただし、システム改修には「相当な時間が必要」との指摘もあり、実際の移行には2022年までの2年間の猶予期間が設けられます。複雑なパズルを解くようなこれまでの連結納税から、よりシンプルで透明性の高いグループ通算へのシフト。2019年12月13日に示されたこの方針は、令和の時代における企業経営のあり方を大きく変える、確かな一歩となるに違いありません。
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