日本の財政がいよいよ大きな転換点を迎えています。政府は2020年度(令和2年度)の予算案編成において、一般会計の歳出総額を102兆円台後半とする方向で最終調整に入りました。これは2019年度の101.5兆円を塗り替え、当初予算ベースでは2年連続の100兆円突破という、過去最大の規模となります。
SNS上では「100兆円という数字が大きすぎて実感がわかない」「将来の増税が不安」といった困惑の声がある一方で、ポイント還元などの景気対策に期待を寄せる意見も散見されます。この巨額予算の背景には、私たちの暮らしに直結する「社会保障費」と、国を守る「防衛費」の増加が大きく影響しているのです。
膨らむ社会保障と景気下支えの策
予算を押し上げる最大の要因は、急速に進む高齢化に伴う社会保障費の増大です。社会保障費とは、私たちが病院にかかった時の医療費や介護サービス、年金などに充てられるお金を指します。2020年度は、高齢化による「自然増」だけで約4000億円増加する見込みであり、国が支えるべき負担は年々重くなっています。
さらに、幼児教育・保育や高等教育の無償化といった少子化対策も本格化するため、社会保障費全体では19年度より1兆円以上も膨らみ、35兆円を超える規模に達するでしょう。これらは次世代を育てるための投資と言えますが、一方で現役世代の負担感とのバランスが常に議論の的となっています。
また、2019年10月の消費税率引き上げによる景気の冷え込みや、世界経済の不安定さに備え、政府は1.8兆円もの景気対策を投じます。特に注目なのがキャッシュレス決済時のポイント還元策です。2020年6月末の終了までに投じられる総予算は約7000億円に達し、増税後の消費を力強くサポートする構えです。
マイナンバーカード普及を目指した新制度「マイナポイント」にも約2500億円が充てられる予定です。これは、カードを保有して民間決済を利用した人に買い物ポイントを付与する仕組みで、デジタル化の推進と消費喚起の「一石二鳥」を狙った戦略的な投資であると私は評価しています。
過去最高の防衛費と財政の健全化
国の安全保障に直結する防衛関係費も、過去最高の5兆3000億円規模となる見通しです。これは8年連続の増額であり、これまでの陸・海・空という枠組みを超え、宇宙、サイバー空間、さらには電磁波といった「新領域」での防衛体制を強化することが急務となっている状況を反映しています。
IT技術が高度化する現代において、目に見えない領域の防衛はもはや贅沢品ではなく、国家のインフラを守るための必須経費と言えるでしょう。また、近年相次ぐ大規模災害への対策として、防災・減災を目的とした公共事業にも1兆円規模が割かれるなど、国民の安全確保を最優先する姿勢が鮮明です。
2020年度の税収は、経済成長率1.4%の予測と消費増税の効果を含め、63.5兆円程度と見込まれています。しかし、歳出が102兆円を超える中で、足りない分は「借金」である国債に頼らざるを得ません。新規国債の発行額を10年連続で減額できるかどうかが、財政再建に向けた大きな試金石となります。
膨張し続ける予算に対し、私は「配るだけでなく、削る勇気」も必要だと考えます。効率的な予算配分が行われているか、私たち国民も注視していくべきでしょう。政府は2019年12月20日にこの予算案を閣議決定する予定であり、その中身がこれからの日本をどう変えていくのか目が離せません。
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