小豆島から世界へ!妖怪画家・柳生忠平氏がフランスで放つ「ジャパニーズ・モンスター」の魔力とインバウンドの勝機

香川県・小豆島の豊かな自然の中で育まれた「妖怪文化」が、今まさに国境を越えようとしています。島を拠点に活動する妖怪画家の柳生忠平氏による作品展示がフランスで開始され、現地のアートシーンに新鮮な衝撃を与えているのです。2019年6月、柳生氏のもとに届いた一通のメールが、この壮大なプロジェクトの幕開けとなりました。

差出人はフランス・ブルゴーニュ地方ノワイエにあるギャラリー関係者で、小豆島で氏の作品に触れて深く感動したことがきっかけだったそうです。かつて台湾での個展を成功させた実績を持つ柳生氏ですが、ヨーロッパでの常設展示は今回が初めての挑戦となりました。日本の伝統的な感性と現代アートが融合した独自の作風は、感性豊かなフランスの人々の心を掴んで離しません。

柳生氏は2019年8月中旬から約2カ月間にわたって現地に滞在し、精力的に制作活動に励みました。ギャラリーの壁面や古い書籍をキャンバスに変え、約30点もの妖怪たちを誕生させたのです。現地で親しまれている猫をモチーフにしたものや、西洋の伝承から着想を得た「道案内妖怪」など、そのラインナップは実に個性的で多岐にわたります。

制作中から「完成を待たずに購入したい」という予約が殺到するほど、現地の熱狂ぶりは凄まじいものでした。こうした反応にSNS上では「日本の妖怪がアートの聖地フランスで認められるなんて誇らしい」「小豆島の魅力が世界に広がるチャンス」といった期待の声が数多く寄せられています。多様な文化を柔軟に受け入れるフランスの土壌は、妖怪という存在を温かく迎え入れたようです。

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宗教の壁を越えるキャラクター!妖怪美術館が狙う欧米からの誘客

柳生氏は2005年に「絵描鬼(えかき)」を宣言して以来、妖怪をテーマに描き続けてきました。現在は小豆島ヘルシーランドが運営する「妖怪美術館」の館長も務めています。そもそも妖怪とは、日本の神道や仏教における「八百万の神」という考え方に根ざした存在です。目に見えない現象や畏怖の念を形にしたものですが、柳生氏はこれを「世界共通で愛されるキャラクター」としての可能性を見出しました。

2019年は「瀬戸内国際芸術祭2019」が開催された記念すべき年であり、小豆島は過去最多となる117万人の来場者を記録するほどの大盛況を見せました。これに伴い、妖怪美術館の入館者数も前年比の4倍に急増しています。しかし、周辺の直島や豊島と比較すると、小豆島を訪れる欧米人観光客はまだ少ないという課題が浮き彫りになっていました。

そこで期待されているのが、今回のフランス進出による認知度向上です。フランス滞在中に着手され、瀬戸芸が閉幕した2019年11月4日に完成した大作「虜巻(トリコロール)」は、まさにその架け橋となる作品でしょう。フランス国旗の色を用いたこの3部作は、日本とフランスの感性が交差する象徴として、現在も妖怪美術館で圧倒的な存在感を放っています。

私は、こうした「伝統の現代的な再解釈」こそが、インバウンドの鍵を握ると確信しています。単なる観光地紹介ではなく、その土地独自の精神性を「妖怪」というキャッチーな媒体で発信する戦略は、知的好奇心の強い欧州の旅人に深く刺さるはずです。柳生氏が描く妖怪たちが、小豆島を世界的なアートの聖地へと押し上げる日も、そう遠くはないのではないでしょうか。

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