佐賀県玄海町に位置する九州電力の玄海原子力発電所1号機にて、2019年12月05日、廃炉作業の様子が初めて報道陣に向けて公開されました。1975年10月15日に営業運転を開始して以来、長年にわたり九州の電力を支え続けてきたこの巨大なプラントは、2015年04月27日にその大役を終えています。現在は、安全かつ着実な解体を目指す長い道のりの真っ只中にあります。
今回の公開で見えてきたのは、原子炉格納容器の外側に位置する「2次系」と呼ばれる区画での懸命な作業風景です。2次系とは、放射性物質を含まない水や蒸気が循環する系統のことで、直接的に核燃料に触れない設備を指します。廃炉という言葉からは、何か物々しい雰囲気を感じる方も多いかもしれませんが、現場では熟練の作業員たちが一つひとつの機器を丁寧に解体する、緻密な手仕事が行われていました。
発電機やタービンが鎮座する広大な建屋内では、タービンを回すための水を温める「加熱器」の撤去が進められています。九電の担当者が「切断しながら配管を抜いている」と説明するように、長さ約8メートルにも及ぶ巨大な管が、20名ほどの作業員によって慎重に運び出されていました。SNS上では「これほどの大規模な施設をどうやって片付けるのか想像もつかない」といった驚きや、作業員の安全を願う声が多く寄せられています。
2017年07月からスタートしたこの廃炉プロジェクトは、全4段階の工程を経て進められる予定です。現在はその第1段階にあたり、放射性物質の影響がない設備から順次解体が進んでいます。九州電力は、すべての工程が完了するまでに2054年度までの期間を要するという壮大な計画を、原子力規制委員会に申請しています。実に30年以上の歳月をかけて、一つの役割を終えた施設を更地へと戻していくのです。
私自身の考えとしては、私たちが日々享受しているエネルギーの「出口」にこれほど膨大な時間と労力が注がれている事実に、改めて襟を正すべきだと強く感じます。原発の是非はさておき、役割を終えた巨艦を責任を持って解体するプロセスは、次世代に対する誠実さそのものです。この廃炉作業が無事故で、そして透明性を持って進むことを切に願わずにはいられません。
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