日本の大学や研究機関が、今まさに大きな転換期を迎えています。2019年12月17日、政府は軍事転用が可能な先端技術の流出を防ぐため、情報管理体制の抜本的な見直しに向けた検討を開始しました。背景にあるのは、急増する外国人留学生を通じた「知の流出」への危機感です。特にハイテク分野で覇権を争う米国からは、中国を念頭に置いた厳しい管理を求める圧力が強まっており、日本も国際水準の防衛策を講じることが急務となっています。
SNS上では「学問の自由と安全保障のバランスが難しい」「日本の脇が甘すぎたのではないか」といった声が上がっています。これまでは「留学生30万人計画」のもと、2018年5月時点では約29万8千人もの学生を積極的に受け入れてきました。しかし、研究現場ではUSBメモリー一つで機密が持ち出せる環境もあり、善意に基づく国際交流が、意図せず他国の軍備増強に加担してしまうリスクが浮き彫りになっているのです。
米国が警戒する「非伝統的収集者」とは?
トランプ政権下の米国は、従来の諜報員ではない研究者や学生を「非伝統的収集者(ノン・トラディショナル・コレクター)」と呼び、警戒を強めています。これは、スパイ活動を本業としない一般の人物が、日常の研究活動を通じて無意識、あるいは組織的な指示によって技術を本国へ持ち帰る動きを指す専門用語です。AIやバイオ、ロボット工学といった14の重点分野において、米国はすでに厳しい情報格付けとアクセス制限を導入しています。
私自身の見解としては、オープンな研究環境は日本の強みである一方、あまりに無防備な体制は、かえって優秀な日本人研究者や提携する海外企業の信頼を損なうことになると考えます。米国はすでに中国向けビザの発給数を数年で大幅に減少させており、日本もこうした「入り口」での審査厳格化を議論せざるを得ない状況です。ただ、情報の収集機関が乏しい日本において、いかに公平性を保ちつつ「危険人物」を見極めるかが最大の課題となるでしょう。
大学の「自主管理」から政府指針による鉄壁のガードへ
2019年7月には、政府から全国の大学へ新たなガイドラインが通知されました。これまでは「研究者任せ」になりがちだった進捗管理や秘密保持に対し、あらかじめ公開する情報と秘匿する情報を明確に区分することを求めています。さらに、法務の専門家による契約チェック体制の整備など、研究現場に「防諜」の意識を浸透させようとしています。これは学問の府としての開放性を守るための、苦渋かつ必須の決断と言えるでしょう。
高度な技術が一度流出すれば、取り返しはつきません。今後、日本の大学が世界トップクラスの研究を続けるためには、研究成果を「守る力」をセットで備えることが、国際共同研究への参加資格となるはずです。技術流出の具体的なリスクを正しく理解し、過度な排除に陥ることなく、適切な管理体制を構築することが、2020年代へ向けた日本の科学技術政策の最優先事項になることは間違いありません。
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