アルツハイマー病という高い壁に、いま一筋の光が差し込んでいます。2019年12月05日、米国カリフォルニア州で開催された国際学会「アルツハイマー病臨床試験会議」にて、日本のエーザイと米バイオジェンが共同開発を進める新薬「アデュカヌマブ」の驚くべき解析結果が発表されました。会場は定員1500人を超える専門家で埋め尽くされ、立ち見が出るほどの熱気に包まれたそうです。
今回公表されたデータによれば、この新薬を高い用量で投与された患者さんは、認知機能の低下を22%抑制できたことが判明しました。さらに、日常生活への影響についても40%の改善が見られたといいます。一度は有効性の証明が困難として開発中止の危機に瀕しただけに、この劇的な復活劇は「異例中の異例」として、世界中に大きな衝撃を与えています。
SNS上でもこのニュースは瞬く間に拡散され、「ついに認知症を克服できる日が来るのか」「家族の希望になってほしい」といった期待の声が溢れました。これまでの治療薬が一時的な症状緩和にとどまっていたのに対し、病気の進行そのものを食い止める可能性を秘めた本剤は、まさに人類にとっての悲願といえるでしょう。
脳の「ゴミ」を掃除する画期的な仕組みとは
アデュカヌマブが注目される最大の理由は、アルツハイマー病の根本原因に直接アプローチする点にあります。この病気は、脳内に「アミロイドベータ」と呼ばれるたんぱく質のゴミが蓄積し、神経細胞を壊すことで進行すると考えられています。アデュカヌマブはこのゴミを除去する役割を担っており、いわば脳内を大掃除してくれる救世主のような存在なのです。
これまでの薬は「アリセプト」のように、神経伝達を一時的にスムーズにするだけの対処療法が主流でした。しかし今回の新薬は、病気の根源に働きかける「疾患修飾薬」と呼ばれるカテゴリーに属します。東京大学の岩坪威教授も、投与量を増やすことで明確な効果が得られたことをポジティブに評価しており、医療界の期待は最高潮に達しています。
株式市場もこの明るいニュースに敏感に反応しました。2019年12月05日の米市場でバイオジェン株が急騰したのに続き、翌2019年12月06日の東京市場ではエーザイ株が前日比で一時8%も上昇する展開となりました。投資家たちの目にも、この新薬が持つ「世界を変える力」がはっきりと映っているのでしょう。
両社は2020年の初頭にも米国食品医薬品局(FDA)へ承認申請を行う予定で、順調に進めば2021年にも世界初の根本治療薬が誕生するかもしれません。2050年には世界で1億5000万人に達すると予測される認知症患者。この巨大な課題に対し、私たちは今、歴史的な転換点に立ち会っているのです。
私個人の見解としては、一度中止された治験から再度データを掘り起こし、有効性を見出した両社の粘り強い執念に深く敬意を表します。もちろん実用化にはまだ高いハードルがあるでしょう。しかし、科学の進歩がもたらすこの希望が、介護に悩む多くの家庭に平穏を取り戻す鍵となることを切に願ってやみません。
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