2019年12月05日、東京2020パラリンピックの開幕を目前に控え、日本経済新聞社による「日経2020フォーラム」が開催されました。この中で行われたパネル討論「パラムーブメントがニッポンを変える」では、各界のリーダーたちが、一過性のブームに終わらせないための具体的なビジョンを熱く語り合いました。
司会を務める経済キャスターの小谷真生子氏の進行のもと、UUUM社長の鎌田和樹氏、野村ホールディングス執行役員の池田肇氏、日本財団パラリンピックサポートセンターのマセソン美季氏、そして日本パラバレーボール協会の真野嘉久氏が登壇し、パラスポーツが持つ真の価値について議論を深めています。
SNS上では、この討論に対して「障害者スポーツという枠を超えた、社会全体の多様性を考えるきっかけになる」といった前向きな反響や、「動画配信を通じて競技の面白さを知った」という若い世代からの声も上がっており、パラスポーツへの注目度は確実に高まりを見せています。
動画と体験が心の壁を壊す鍵となる
UUUMの鎌田和樹氏は、YouTubeで配信している車いすバスケットボールなどの動画が、すでに230万回再生を超えているという驚きの現状を報告しました。若い世代にとって、動画は「障害」という壁を感じさせずに競技の迫力や魅力をダイレクトに伝える有効な手段となっており、出演者の影響力が親近感の醸成に一役買っているようです。
また、野村ホールディングスの池田肇氏は、企業がスポンサーとして関わることの意義を強調しています。同社では役員を含めた社員が実際にパラスポーツを体験することで、それまであった心理的な距離が縮まったといいます。知識として知るだけでなく、実際に義足に触れたり、選手と同じルールで試合をしたりする「原体験」こそが、共生社会を理解する一歩になるのでしょう。
「共生社会」という言葉は、障害の有無にかかわらず、誰もが互いの個性を尊重し支え合う社会を指します。パラスポーツを単なる「支援の対象」として捉えるのではなく、自分たちも楽しみ、驚き、そして共に戦うパートナーとして認識することが、この言葉を実現するために不可欠なプロセスであると考えられます。
2020年以降に見据える「一生涯のスポーツ」としての価値
1998年の長野パラリンピック金メダリストであるマセソン美季氏は、自身の経験から日本社会に残る「ぎこちなさ」を指摘しました。20歳の時の事故で車いす生活となり、人々の視線や態度が変わったことにショックを受けた彼女は、カナダでの生活を通じて、障害を特別視しない社会の存在を知ったといいます。
日本でもパラリンピックをきっかけに、障害者が身近な場所で活躍することが当たり前になる社会を目指さなければなりません。マセソン氏が説くように、障害のある方々が「自分たちへの接し方が変わった」と実感できてこそ、大会の成功と言えるのではないでしょうか。単なるメダル争い以上の「意識の変革」が求められています。
さらに、日本パラバレーボール協会の真野嘉久氏は、競技団体の財政的な脆弱性を懸念しつつ、2020年以降の持続的な支援を企業に求めています。現在はメダル候補の競技に資金が集中しがちですが、シッティングバレーボールのような競技は、高齢者になっても楽しめる「生涯スポーツ」としての可能性を秘めていると力説しました。
超高齢化社会を突き進む日本において、座ったままプレーできるスポーツは、健常者にとっても長く健康を維持するための素晴らしい選択肢になり得ます。私自身の考えとしても、パラスポーツを「特別な人のもの」ではなく、誰もが人生のどこかで関わる「身近なレクリエーション」へと昇華させることが、日本独自の成熟したスポーツ文化を築く鍵になるはずです。
コメント