日産自動車が推し進めてきた新興国市場での戦略が、今まさに大きな曲がり角を迎えています。かつて輝かしい復活を遂げた伝説の名を冠する低価格ブランド「ダットサン」ですが、インドネシアやロシア圏において大幅に事業を縮小する決断を下しました。2019年12月19日現在、このニュースは業界に衝撃を与えています。
販売台数は2012年度のピーク時から約1割も減少しており、低価格を武器にする戦略が逆にブランドイメージを損なう結果となってしまいました。SNS上では「古くからのファンには寂しい決断だ」という声がある一方で、「今の時代、単に安いだけでは消費者は納得しない」といった厳しい意見も散見され、市場ニーズの多様化を象徴しています。
新興国市場に潜む鬼門とダットサンの苦悩
日産にとって、アジアや南米といった新興国での事業拡大は長年の課題でした。特に2012年に鳴り物入りで復活した「ダットサン」は、1人あたりの国内総生産(GDP)が伸び悩む層を狙ったエントリーモデルです。しかし、現地主導ではない開発体制が災いし、地域のユーザーが真に求める魅力を提供しきれなかったのが実情でしょう。
2018年の販売実績を見ると、前年比で約1割も落ち込む苦境に立たされています。そのため2020年中にはロシアとインドネシアでの生産に終止符を打ち、在庫がなくなり次第販売も終了する見通しとなりました。私は、この「選択と集中」こそが、今の過酷な自動車業界を生き抜くために不可欠な英断であると考えます。
アライアンスの力を活かした次なる一手
今後の日産は、高い競争力を誇るアフリカ地域へ注力する構えを見せています。アルジェリアやガーナでの工場新設に加え、南アフリカでは2020年から小型商用車「ナバラ」の生産を開始する予定です。また、東南アジアや南米では、ルノーや三菱自動車との強固なアライアンス(戦略的提携)が再建の鍵を握ることになるでしょう。
その具体例が、三菱自のヒット車をベースにした「リヴィナ」の展開です。相手先ブランドの設計を活用するOEM供給や、エンジンの相互生産といった協業は、コストを抑えつつ品質を保つ賢明な手法と言えます。過去の拡大路線から脱却し、パートナーとの共創で巻き返しを図る日産の新たな挑戦に、世界中が熱い視線を注いでいます。
コメント