日産自動車がいま、かつてない正念場を迎えています。2019年11月12日に発表された中間決算では、稼ぎ頭であるはずの北米事業が前年同期比で57%減益という、耳を疑うような数字が飛び出しました。この不振の根底にあるのは、カルロス・ゴーン元会長時代の「拡大路線」が残した負の遺産です。SNS上でも「最近の日産は値引きのイメージが強すぎる」「新車が出なくて寂しい」といった厳しい声が相次いでおり、ファンからの信頼回復が急務となっています。
今回の営業利益低迷の最大の要因は、過剰な「販売奨励金」にあります。これはインセンティブとも呼ばれ、メーカーが販売店に支払う実質的な値引きの原資のことです。日産の1台あたりの奨励金は約4218ドルに達し、トヨタの約1.7倍、ホンダの約2倍という驚くべき水準です。安売りで台数を稼ぐ戦略がブランドイメージを傷つけ、「セール価格でなければ買わない」という負の連鎖を生んでしまいました。同業他社が利益率を回復させる中で、日産の苦戦は鮮明です。
「車齢」の若返りがカギ!新型車攻勢でブランド再構築へ
この窮地を脱するため、日産は「台数至上主義」を捨て、2019年12月1日に就任する内田誠次期CEOの新体制下で抜本的な改革に乗り出します。特に注目すべきは、モデルチェンジの間隔を示す「車齢」の短縮です。現在の日産の平均車齢は5.1年と、業界平均の4年前後を大きく上回っています。人気車種の「エクストレイル」も発売から6年が経過しており、消費者の「飽き」が隠せません。最新技術を積んだ魅力的な新車を投入することこそが、値引きに頼らない唯一の道と言えるでしょう。
今後の計画では、2023年3月までに20車種以上の新型車を投入し、平均車齢を3.5年以下にまで引き下げる方針です。個人的な意見を言わせていただければ、日産には「技術の日産」として世界を驚かせたDNAが確実に眠っています。EVや自動運転といった得意分野で圧倒的な価値を提示できれば、安売り競争から脱却し、再び憧れのブランドへと返り咲くことは決して不可能ではありません。時間はかかるかもしれませんが、今がまさに「正常化」への第一歩なのです。
さらに、世界各地で膨れ上がった生産能力の適正化も進められています。かつて勢いに任せて新設したタイやインドネシアなどの工場は、現在、過剰設備という重荷に変わってしまいました。2023年3月期までに世界14拠点の生産ラインを縮小し、稼働率を86%まで引き上げる構造改革は、痛みを伴うものの避けては通れない道です。新体制がどこまでスピーディーに、そして大胆にメスを入れられるか。日産の真の復活劇は、ここからが本番です。
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