2019年12月19日、医療系スタートアップの旗手として注目を集める株式会社CureAppが、法人向けの新機軸サービス「ascure Starter(アスキュアスターター)」の提供を開始しました。この取り組みは、単なるマナーとしての禁煙を促すものではなく、企業の生産性を高める「健康経営」を力強くバックアップする画期的なものです。これまでは個人の意思に委ねられがちだったタバコ問題に対し、企業がテクノロジーを駆使してアプローチする新時代の幕開けと言えるでしょう。
今回ターゲットとなっているのは、いつかは禁煙したいと考えていながらも、なかなか重い腰を上げられない「関心期」と呼ばれる喫煙者層です。厚生労働省などの定義によれば、この層は喫煙者の約6割を占めるとされており、ここへのアプローチが成功の鍵を握っています。SNS上でも「やめたい気持ちはあるけれど、きっかけがない」といった声が多く聞かれる中、心理的なハードルを下げて自然に最初の一歩を後押しする仕組みが待望されていました。
本サービスでは、呼吸器内科のエキスパートが監修した全6章のウェブコンテンツが提供されます。注目すべきは、専門用語で「認知行動療法」と呼ばれるアプローチを応用している点です。これは、自身の思考の偏りや習慣を見つめ直し、行動を変容させる心理手法のことです。1章あたり5分から10分という短時間で、親しみやすいキャラクターとの対話を通じて、喫煙への認識を徐々に変化させていく設計がなされているのが大きな特徴です。
大手企業も注目する「治療アプリ」の知見を活かした動機づけ
CureAppは、もともと医師が処方する「治療アプリ」の開発で培った高度なノウハウを有しています。既に同社が提供している「ascure 卒煙プログラム」は、禁煙を決意した人々をサポートし、高い成功率を収めてきました。今回の新サービスは、その前段階として「その気にさせる」ことに特化しています。既にSCSKやヤフーといった先進的なIT企業が試験導入を決めており、ビジネス現場での実用性と効果には各方面から熱い視線が注がれています。
筆者の視点としては、従来の「根性論」や「健康被害の強調」だけでは動かなかった層に対し、スマホ一つで完結するデジタル療法的な視点を取り入れたことは極めて理にかなっていると感じます。特に多忙な現代のビジネスパーソンにとって、スキマ時間で受講できる手軽さは継続の生命線です。会社から強制されるのではなく、自発的に「やめてみようかな」と思わせる仕組みこそが、真の健康経営を実現するための最短ルートになるはずです。
2019年12月19日に発表されたこの施策が、日本の労働環境における喫煙率低下の起爆剤となるか期待が高まります。個人の健康を増進させることが、結果として企業の活力に繋がるという好循環が生まれれば、日本全体のウェルビーイングは一段と向上するでしょう。テクノロジーが医療の枠を越え、日常の習慣に優しく介入する試みは、今後のデジタルトランスフォーメーションにおける重要なモデルケースになるに違いありません。
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