豪華客船の代名詞ともいえる「飛鳥II」において、乗客の心を掴んで離さない極上のサービスを支える一人の女性がいます。2019年12月20日現在、レストランの接客と客室管理の指導を統括しているのが、38歳の中野良美さんです。彼女は日本を代表する名門旅館「加賀屋」や、細やかな気配りが求められる結婚式場での経験を武器に、大海原の上で「一歩先回り」した究極のおもてなしを体現しています。
中野さんのキャリアは2014年の入社から始まり、船上のメインダイニングで給仕を行うウエートレスとして現場の第一線で研鑽を積んできました。その真摯な姿勢が評価され、2016年には接客リーダーであるヘッドウエートレスへと昇進を果たします。さらに2019年10月1日からは、客室管理を統括するアシスタントマネジャーも兼務するなど、その活躍の場は広がり続けているのです。
言葉の壁を超える「伝わる」接客へのこだわり
飛鳥IIには約470名の乗務員が在籍していますが、その8割はフィリピン人を中心とした外国人スタッフで構成されています。一方で、乗船されるお客様の99%は日本人です。ここで重要になるのが、中野さんが提唱する「日本語と身ぶり手ぶり」を基本としたコミュニケーション術でしょう。英語で指示を理解するだけでなく、お客様には正しい日本語で真心を伝えることが、サービスの本質だと彼女は考えています。
特にアレルギーなどの注意事項や、繊細な日本料理の嗜み方を説明する際、言葉が不正確であればせっかくの旅の興奮も削がれてしまいかねません。SNS上でも「多国籍なスタッフなのに、日本的な細部まで行き届いた配慮に驚いた」といった声が多く寄せられており、彼女の教育方針が確かな反響を呼んでいることが伺えます。現場に立つ前にはJポップを聴いて集中力を高めるという、彼女らしい等身大のルーティンも魅力の一つです。
部署の垣根を越える「かけはし」としての挑戦
2019年10月以降、中野さんはレストランと客室管理という二つの重要部門の連携強化に心血を注いでいます。これまでは部署間の情報共有に課題がありましたが、彼女が間に入ることで劇的な変化が生まれました。例えば、お食事中に体調を崩されたお客様がいらした場合、その情報を即座に客室側へ共有し、お部屋に戻られたタイミングで温かい「おかゆ」をすぐにお届けするような、迅速なケアが可能になったのです。
こうした部門横断的なホスピタリティ(心からのおもてなし)こそ、現代のラグジュアリーな旅に求められる要素ではないでしょうか。私自身の見解としても、デジタル化が進む現代だからこそ、中野さんのように相手の表情からニーズを汲み取る「人間力」の価値はますます高まると確信しています。二つの部署を繋ぐ「かけはし」を目指す彼女の挑戦は、飛鳥IIをより高みへと押し上げる原動力となるに違いありません。
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