日中韓FTA交渉が加速!2019年末の成都首脳会談で描かれた東アジア経済圏の光と影

2019年12月24日、中国の成都において、日本の安倍晋三首相、中国の李克強首相、そして韓国の文在寅大統領による記念すべき日中韓首脳会談が開催されました。この会談後に発表された成果文書の中で、3カ国は「日中韓自由貿易協定(FTA)」の交渉を一段と加速させる方針を鮮明に打ち出しています。

FTAとは、特定の国や地域の間で、関税や輸出入の制限を撤廃・軽減し、自由な貿易を促進するためのルールのことです。日本にとって中国は1位、韓国は3位という極めて重要な貿易相手国でありながら、実は日中間および日韓間にはまだFTAが存在していません。それだけに、この枠組みが完成すれば、莫大な経済的ポテンシャルが解き放たれることになるでしょう。

SNS上では「ついにアジアの巨大マーケットが動くのか」と期待する声が上がる一方で、「政治的な火種が多すぎて本当に実現できるのか」という冷静なツッコミも散見されます。経済的なメリットは理解できても、国民感情や国家間の軋轢が拭えない現状に、多くのユーザーが複雑な視線を送っていることがうかがえます。

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米中対立の狭間で揺れる思惑と「一帯一路」の影

今回の合意の裏には、各国の複雑な事情が透けて見えます。中国は米国との貿易摩擦が激化する中で、米国抜きの経済圏を固めたいという強い意向を抱いているようです。独自に推進する巨大経済圏構想「一帯一路」を軸に、輸出先を米国から日本など周辺国へ分散させる戦略を描いており、日本へのアプローチを強めているのが現状です。

対する日本は、まずは東南アジアを含む16カ国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を先行させ、その上でより高度なルールを盛り込んだ日中韓FTAを成立させたいという慎重な姿勢を崩していません。インドとの調整が難航し、2019年中の合意は見送られましたが、安倍首相は16カ国での早期署名に向けて不退転の決意を示しています。

個人的な見解を述べれば、経済のブロック化が進む現代において、日中韓の連携は避けて通れない道でしょう。しかし、単なる関税の引き下げだけでなく、知的財産権の保護やデジタルデータの自由な流通といった「高い質」のルールを中国がどこまで受け入れられるかが、この交渉が画餅に帰すかどうかの分水嶺になると感じています。

5G問題と歴史の溝が阻む「三頭政治」の完成

協力強化を謳う一方で、現場には冷たい風が吹き抜けています。中国は次世代通信規格「5G」において、華為技術(ファーウェイ)が世界的に排除されている状況に苛立ちを隠しません。習近平国家主席が「差別なき環境」を訴えた背景には、日本に対するファーウェイ採用への強い圧力があり、安全保障を優先する日本との溝は深まるばかりです。

また、日韓関係も半導体材料の輸出管理を巡る問題で冷え切っていますが、実は中韓の間にも深い亀裂が存在します。韓国が米軍のミサイル迎撃システム(THAAD)導入を決めて以来、中国は団体旅行の制限や韓流コンテンツの締め出しといった「報復」を継続しており、経済交流の大きな足かせとなっているのが実情です。

2019年12月25日現在、首脳たちの握手は交わされたものの、各国の足元に転がる課題は山積みと言わざるを得ません。経済の論理が政治の論理を超え、真の東アジア共栄圏が築かれる日は来るのでしょうか。メディアとしては、この「同床異夢」な関係がどう変化していくのか、今後も厳しい視線で注視し続けたいと思います。

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