東南アジアの経済地図が今、大きな転換期を迎えています。2015年12月31日に発足したASEAN経済共同体(AEC)は、域内関税の撤廃を通じて6億人規模の巨大市場を創出しました。当初は効率化のために生産拠点が特定の国へ集中すると予測されていましたが、事態は意外な方向へ動き出しています。
現在、自動車産業の主役たちが熱い視線を注いでいるのは、フィリピンの地です。業界最大手のトヨタ自動車は、現地での部品調達率を5割まで引き上げる野心的な目標を掲げました。「裾野産業」と呼ばれる、完成車を支える無数の部品メーカーの育成が、今まさに加速しているのです。
SNS上では、このニュースに対して「フィリピン製の車が世界を走る日が来るのか」といった期待の声や、「日本企業の技術移転が現地の雇用を劇的に変える」というポジティブな反響が広がっています。単なる組み立て工場ではなく、自国で付加価値を生み出そうとする動きに注目が集まっています。
「生産集中」から「各国分散」へ!ASEAN諸国が火花を散らす誘致合戦
ASEANにおける自動車製造の勢力図を紐解くと、年間200万台の生産能力を誇るタイが絶対的な王者として君臨しています。タイは部品メーカーが網の目のように集まる「産業集積」に成功しており、世界への輸出拠点としても機能しているのが現状でしょう。
この絶対王者を猛追するのが、約2億6000万人という圧倒的な人口ボリュームを武器にするインドネシアです。内需の拡大を背景に工場進出が相次いでいますが、実はマレーシアやベトナム、さらにはミャンマーまでもが、自国でのメーカー誘致に並々ならぬ情熱を注いでいます。
なぜ各国はこれほどまでに自動車に固執するのでしょうか。それは、自動車産業が「産業の米」と呼ばれ、鉄鋼や電子部品、化学など多岐にわたる分野に波及効果を及ぼすからです。一国の産業構造を高度化させるための切り札として、自動車製造の自国化は譲れない戦いなのです。
私個人の見解としては、この「分散型」の発展はASEAN全体のレジリエンス(回復力)を高める素晴らしい傾向だと感じます。一極集中は効率的ですが、災害などのリスクに脆弱です。フィリピンが独自のサプライチェーンを構築することは、地域の安定にも大きく寄与するはずです。
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