仕事納め式はもう古い?自治体で相次ぐ「廃止」の波と働き方改革のリアル

2019年12月27日、年の瀬の足音が聞こえる中、日本のビジネスシーンで長く親しまれてきた「仕事納め式」に大きな変化が訪れています。全国の自治体において、この恒例行事を思い切って取りやめる動きが急速に広がっているのです。

この改革の背景にあるのは、現代の大きなテーマである「働き方改革」への真摯な取り組みです。形式的な慣習を維持することよりも、職員の心身の健康やプライベートの充実を優先しようとする姿勢が、各自治体の決断から鮮明に浮かび上がっています。

鹿児島県では、1996年から20年以上にわたって続けられてきた御用納めの会を、2019年から廃止することを決定しました。これまでは業務最終日の夕方に知事や幹部ら約180名が集まり、会費を出し合って軽食やビールを楽しむのが通例となっていたのです。

しかし、この賑やかな宴の裏側では、持ち回りで幹事を務める職員たちの苦労がありました。出欠の確認や会場との細かな調整など、多忙な年末に大きな負担となっていた「幹事業務」の大変さが、今回の廃止を後押しする決定打となったようです。

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忖度の文化から実利の休暇へ

鹿児島県が幹部職員を対象に行ったアンケートでは、8割近い人が廃止に賛成という驚きの結果が出ました。「強制ではないものの、なんとなく参加すべき」という、日本特有の同調圧力や忖度が、職場環境の硬直化を招いていた可能性は否定できません。

三重県の津市でも、2019年から式典の廃止を決めました。ここでは市長が15分間行っていた訓示を、インターネット上の文書に置き換えるという合理的な手法を導入しています。これにより、職員は物理的な拘束から解放されることになりました。

この施策の最大の狙いは、有給休暇の取得促進にあります。市の人事担当者は、浮いた時間を家族との団らんや「自己研さん(自分のスキルを磨くための勉強)」に充ててほしいと語っており、職員のモチベーション向上に期待を寄せています。

SNS上では「ようやく時代が追いついた」「年末の挨拶回りに疲れていたので、この流れは歓迎したい」といった共感の声が目立ちます。一方で「1年の区切りがなくなるのは少し寂しい」という、伝統を惜しむ声も見受けられました。

効率化が加速する令和元年の年末

2017年にいち早く廃止を決めた神戸市では、さらに一歩踏み込んで、年始の「仕事始め式」についても見直しを検討中です。市長の言葉をネット配信で共有するなど、ITを駆使して「集まらない」スタイルへの転換を模索しています。

千葉市においては、2018年から「納め」と「始め」のどちらか一方のみを行うという柔軟なルールを設けています。2019年は仕事納め式を開催しない年となっており、数日の間に何度も式典を繰り返す非効率さを徹底的に排除しました。

私は、こうした自治体の動きを非常に賢明な一歩だと評価しています。長年続いてきたからという理由だけで、誰も望んでいない儀式に貴重な税金や人的リソースを割く時代は、もう終わりにすべきではないでしょうか。

もちろん、感謝を伝え合う場は大切ですが、それはデジタルの活用や日常のコミュニケーションで十分に補完可能です。2020年以降、官民問わず「本当に必要な行事は何なのか」を問い直す流れは、さらに加速していくことでしょう。

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