日本の医療制度が大きな転換点を迎えています。厚生労働省と財務省は、2020年度の予算編成において、医療機関に支払われる「診療報酬」を全体で引き下げるマイナス改定とする方針を固めました。今回の決定により、薬の公定価格である「薬価」を大幅に引き下げることで、国費の投入を約1000億円も抑制する見込みです。
「診療報酬」という言葉は少し難しく感じるかもしれませんが、これは私たちが病院で受ける診察や検査、処方される薬の「お値段」のことです。この仕組みは、医師や看護師さんの人件費にあたる「本体部分」と、薬や医療材料の代金である「薬価部分」の2つで構成されています。今回は、この薬の価格をグッと下げることで、膨らみ続ける医療費にメスを入れる狙いがあるのでしょう。
3年連続の薬価引き下げがもたらす家計への恩恵
今回の改定で注目すべきは、薬価の引き下げが2018年度から3年連続で行われるという異例の事態です。通常、薬価改定は2年に1度のペースですが、2019年10月01日の消費税増税に伴う臨時改定があったため、このようなスケジュールとなりました。この1000億円という抑制額は、国が医療に投じる費用の約1%に相当し、家計にとっては窓口負担の軽減につながる嬉しいニュースと言えるでしょう。
ネット上では「薬が安くなるのは助かる」という歓迎の声がある一方で、「安くなりすぎて新薬の開発が滞らないか心配」といった鋭い指摘も散見されます。市場での流通価格と公定価格のズレを解消する「乖離率(かいりりつ)」に基づいた適正化は必要ですが、医療の質を落とさないバランス感覚が求められています。厚生労働省は2019年12月04日にも最新の調査結果を公表し、最終的な抑制額を確定させる予定です。
医療現場の「働き方改革」と本体プラス改定の攻防
一方で、薬価が下がる一方で医師たちの技術料にあたる「本体」部分は、わずかに増額される方向で調整が進んでいます。財務省は厳しい財政状況を理由にマイナスを主張していましたが、厚生労働省や日本医師会は、過酷な勤務環境にある医師の「働き方改革」や、若手医療従事者の賃上げを実現するための原資として、プラス改定を強く求めてきました。
私は、今回の「薬価はマイナス、本体はプラス」という決着は、苦肉の策ながらも現実的な選択だと考えます。高度な医療技術を維持し、私たちの命を守る現場を支えるためには、人への投資を惜しむべきではありません。SNSでも「現場の疲弊を考えれば当然」という意見が多く、単なるコストカットではなく、未来の安心を買うための配分であってほしいと願わずにはいられません。
最終的に、2020年度の診療報酬は全体としてマイナス改定となる見通しですが、これは国民の負担軽減と医療現場の維持を天秤にかけた結果です。私たちは単に安さを喜ぶだけでなく、支払ったお金がどのように医療の質の向上に還元されているのか、今後も注視していく必要があるでしょう。2019年12月01日現在のこの動きは、次世代の医療のあり方を占う重要な指標になりそうです。
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