2020年度診療報酬改定で救急医療を救う!勤務医の働き方改革と「命の現場」の守り方

日本の救急医療を支える最前線に、大きな転換期が訪れようとしています。厚生労働省と財務省は、2020年度の診療報酬改定において、過酷な労働環境に置かれている勤務医の状況を改善するため、救急医療を担う病院への報酬を手厚くする方向で最終調整に入りました。

「診療報酬」とは、私たちが医療機関で受けた診察や治療、薬の対価として支払われる公的な価格のことです。今回の改定では、年間に1000件以上の救急車を受け入れている大規模病院や救急医療センターを主な対象としており、その数は全国の病院の約15%に相当する約1400施設にのぼります。

SNS上では「ようやく医師の過労に光が当たった」「命を預かる人が疲弊していては元も子もない」といった、医療従事者の負担軽減を支持する声が目立っています。これまで日本の医療は、医師たちの献身的な長時間労働という「自己犠牲」の上に成り立ってきた側面があり、今回の動きはまさに待望の改革といえるでしょう。

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医師の働き方改革を加速させる財源の確保

2019年4月1日から施行された働き方改革関連法により、世の中では残業時間の上限規制が始まりました。しかし、救急医療などの現場は一気に規制を強めると医療体制が崩壊する恐れがあるため、医師については2024年4月まで適用が猶予されるという特殊な状況にあります。

この猶予期間中に環境を整えるため、厚労省は1600億円規模の増額を求めて財務省と交渉を続けています。診療報酬の「本体」と呼ばれる人件費や技術料の部分をプラスに転じさせることで、病院が新しい医師を確保したり、医師のタスクを分担する看護師や事務補助者を雇用したりするための原資を作り出す狙いです。

私は、この「メリハリのある配分」こそが今後の日本医療の鍵を握ると考えます。すべての医療機関を一律に扱うのではなく、特に負担の大きい救急現場に資金を集中させることは、結果として患者に提供される医療の安全性を高めることにつながるため、非常に合理的な判断ではないでしょうか。

薬価引き下げと基金による柔軟な支援

一方で、財源を捻出するために「薬価(薬の公定価格)」の引き下げは避けられない見通しです。2019年9月24日時点の調査では、実際の市場流通価格が薬価を大きく下回っていることが報告されており、ここを圧縮することで国費を抑え、医師の労働改善へと充てるスキームが描かれています。

また、診療報酬という枠組みだけでなく、地域の実情に合わせて柔軟に支援を行える「基金」の設立案も浮上しています。これは2024年度までの時限措置として検討されており、地域医療の特性に応じたきめ細やかな労務管理の適正化を後押しする武器となることが期待されます。

「医師が健康でなければ、患者を救うことはできない」という当たり前の理念が、制度としてようやく形になろうとしています。2020年度の改定が、過労死ラインでの勤務が常態化している現場の救世主となり、持続可能な医療体制への第一歩となることを切に願わずにはいられません。

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