2019年12月27日、日本の動画視聴スタイルが歴史的な転換点を迎えています。Netflix(ネットフリックス)やAmazonといった「黒船」と称される外資系配信サービスの攻勢に加え、次世代通信規格「5G」の足音がすぐそこまで聞こえてきているからです。この荒波に立ち向かうべく、国内の有料放送界を牽引してきたスカパーJSATとWOWOWが、かつてのライバルの垣根を越えて強力なタッグを組みました。
両社は2019年10月より、提携の枠組みを大幅に広げています。これまで一部に限定されていたWOWOWの番組供給を、スカパー!の主力サービスへと拡大させました。WOWOWの田中晃社長は、有料放送の未来は決して暗くないと力説されています。特定の趣味や関心に深く刺さる「専門性」こそが、情報過多な現代において強力な武器になると確信しているのでしょう。ファンに寄り添う姿勢は、SNSでも「独自路線を貫いてほしい」と期待を集めています。
しかし、楽観視できない現実も横たわっています。スカパー!はプロ野球全12球団の配信を実現したものの、サッカーJリーグの放映権を黒船の一つであるDAZN(ダゾーン)に奪われた影響が尾を引いています。2019年3月末時点の契約者数は約324万人と、3年前と比較して7%も減少しました。一方のWOWOWも加入者数は堅調ですが、世界的な放映権料の高騰という目に見えない脅威が、経営の先行きに影を落としているのが現状です。
5Gがもたらす超高速体験と「投げ銭」による双方向の熱狂
ここで注目すべきは、間もなく本格始動する「5G(第5世代移動通信システム)」の存在です。これは現在普及している4Gに比べ、圧倒的な大容量データを高速・低遅延で送れる技術を指します。2時間の映画をわずか3秒でダウンロードできる驚異的なスピードは、私たちのストレスをゼロにするでしょう。ネット上では「動画の読み込み待ちがなくなるのは革命だ」と、新時代の到来を待ち望む声が溢れています。
5Gの恩恵は画質の向上だけにとどまりません。サイバーエージェントが運営する「AbemaTV」では、視聴者が番組や出演者に直接デジタルギフトを送る、いわゆる「投げ銭」機能を導入しました。これは応援の気持ちを可視化する双方向の体験であり、テレビには真似できないネット独自の強みです。従来の「見るだけ」の放送から、ファンがコンテンツの一部として参加する「共創」の形へと、エンターテインメントの定義が書き換えられようとしています。
世界に目を向ければ、米国ではメディアの巨大再編が加速しています。ディズニーやアップルまでもが独自の配信サービスを開始し、放送と通信の境界は完全に消失しました。私は、日本の放送局も単なる番組制作に留まらず、テクノロジーを駆使した「体験価値」の提供へシフトすべきだと考えます。公共放送のNHKが民放の「TVer」に参加した2019年8月の動きは、その第一歩に過ぎません。生き残りをかけた戦いは、今まさに始まったばかりなのです。
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