2019年12月27日、大阪の観光シーンを象徴する驚きのデータが発表されました。日本経済新聞社の調査によると、11月における大阪市内の主要13ホテルの平均客室稼働率は92.3%を記録しています。数字だけを見れば驚異的な高水準を維持しているように思えますが、実は前年同月と比較すると1.8ポイントの低下を見せているのです。
このわずかな変化の裏には、インバウンド需要の構造的な変革が隠されているのではないでしょうか。特に中国をはじめとしたアジア圏からの旅行スタイルが、従来の大型バスで移動する「団体旅行」から、自ら計画を立てる「個人旅行」へと劇的にシフトしていることが大きな要因と言えるでしょう。
SNS上では「最近、大阪のホテルが以前より予約しやすくなった気がする」といった声や、「団体客が減ってロビーが落ち着いた雰囲気になった」というポジティブな反応も見受けられます。一方で、これまで団体客をメインに集客してきた宿泊施設にとっては、戦略の練り直しを迫られる重要な局面を迎えているようです。
老舗ホテルの苦悩と新たな収益モデルの確立
具体的な数字を見ていくと、名門のリーガロイヤルホテルでは稼働率が1.8ポイント低下しました。また、ホテルニューオータニ大阪にいたっては5.2ポイントもの大幅な低下を記録しています。ここで注目すべきは、稼働率が下がったからといって必ずしも業績が悪化しているわけではないという、非常に興味深い現象です。
ホテルニューオータニ大阪では、宿泊部門の売上高が約5%増加するという逆転現象が起きています。これは、稼働率という「部屋が埋まっている割合」よりも、1室あたりの単価が高いレジャー目的の個人客(FIT)を巧みに取り込んだ結果と言えるでしょう。客数が減っても利益が増えるという、理想的な構造への転換が始まっています。
専門用語で「FIT」とは「Foreign Independent Tour」の略称で、団体ツアーを利用せずに個人で手配を行う旅行者のことを指します。彼らは自分のこだわりにお金をかける傾向が強いため、ホテル側も画一的なサービスではなく、より質の高い体験価値を提供することが求められる時代になったのかもしれません。
編集者としての私見ですが、この稼働率の微減は決して「不調」ではなく、大阪の観光が「量から質」へ転換するための健全な通過点だと考えています。2019年11月のこの動きは、今後のホテル経営において、いかに個人のニーズに寄り添った付加価値を生み出せるかが勝負の分かれ目になることを示唆しているでしょう。
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