2019年12月29日、今年も残すところあと僅かとなりました。文芸シーンを振り返れば、多くの才能が光を放った一年でしたが、中でも文芸評論家の北上次郎氏が「今年の3冊」として選んだ作品は、読書好きの間で大きな注目を集めています。SNSでは「年末年始に一気読みしたいラインナップ」「北上さんの選書なら間違いない」といった期待の声が続々と上がっており、読書欲を刺激されるファンが急増している様子が伺えます。
まず一冊目に挙げられたのは、2019年2月22日に刊行された横山秀夫氏の『ノースライト』です。ある家族が忽然と姿を消した謎を追う物語ですが、本作の真骨頂は単なる失踪事件の解明に留まりません。建築家としての誇りを懸けたコンペの裏側に、実はもう一つ別の「真の目的」が隠されていたという構成の妙が、読者を物語の深層へと引き込みます。緻密な伏線が回収される瞬間、ミステリーの枠を超えた深い感動が押し寄せてくることでしょう。
巧みな構成が光る!宇佐美まことの到達点とダメ男への愛
続いて選出されたのは、2019年7月18日発売の宇佐美まこと氏による『展望塔のラプンツェル』です。筆致の冴え渡る著者が放つ本作は、一見バラバラに見える3つの物語が終盤で見事に収束していく展開が圧巻の仕上がりとなっています。かつて日本推理作家協会賞を受賞し、ジャンルにおける優れた技巧を証明した『愚者の毒』という傑作すら凌駕するほどの完成度です。物語が一つに繋がる瞬間のカタルシスは、まさに読書の醍醐味といえるでしょう。
最後を飾るのは、2019年8月30日に発売された足立紳氏の『それでも俺は、妻としたい』です。言い訳ばかりを並べ立て、一向に反省の色を見せない「近年最強のダメ男」の日常が描かれます。こうした自分勝手な振る舞いには、怒りを感じる読者も少なくないはずですが、それでもどこか憎めず心が和んでしまうのがこの作品の不思議な魅力です。人間の滑稽さと愛おしさを絶妙に描き出した、ある種の新境地とも呼べる一冊ではないでしょうか。
今回選ばれた3冊は、物語の構成美から人間の心理描写まで、2019年を代表するにふさわしい深みを持っています。私自身、こうした質の高いエンターテインメントに触れることは、日々を豊かにする最高の贅沢だと信じています。特に横山作品のような構造の美しさや、足立作品の剥き出しの人間臭さは、映像では味わえない小説ならではの魅力が凝縮されています。冬休みのひとときに、ぜひじっくりとページをめくってみてはいかがでしょうか。
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