回転寿司チェーン大手として知られる「くら寿司」が、2019年12月12日に最新の連結決算を発表しました。2019年10月期の通期実績によれば、最終的な儲けを示す純利益が37億円となり、前の期と比較して27%もの大幅な減少を記録しています。売上高自体は1361億円と前年を3%上回る成長を見せましたが、利益面では苦戦を強いられる結果となりました。
今回の減益を招いた最大の要因は、店舗を運営するためのコストが想定以上に膨らんだことにあります。現在、飲食業界全体が深刻な「人手不足」に直面しており、従業員の確保には多額の費用を投じなければなりません。くら寿司においても、スタッフの給与にあたる人件費や、新たな人材を募るための募集採用費が重くのしかかり、売上の伸びを相殺してしまった形です。
「不適切動画」の代償と国内店舗の苦境
国内における既存店売上高が4%減少した点も見逃せません。この背景には、2019年2月に発生し、SNS上で瞬く間に拡散されたアルバイト店員による「不適切動画」の影響が色濃く反映されています。いわゆる「バイトテロ」と呼ばれるこの問題は、企業のブランドイメージを大きく毀損させました。消費者の信頼を回復することの難しさが、数字となって明確に表れています。
SNS上では「好きだっただけにショックが大きい」「安心して食べられる対策を徹底してほしい」といった厳しい声が上がる一方で、同社の迅速な法的対応を支持する意見も散見されました。一度失った信頼を取り戻すプロセスは非常に険しいものですが、外食産業にとって食の安全と安心は生命線です。企業のコンプライアンス意識がこれまで以上に問われる時代になったといえるでしょう。
一方で、視点を海外に向けると驚異的な成長を遂げていることが分かります。海外部門の売上高は136億円に達し、前年比で29%増という目覚ましい伸びを見せました。日本国内での逆風を、グローバル展開の加速によって補っている構図が浮かび上がります。伝統的な日本食である寿司が、テクノロジーを駆使した「KURA」スタイルとして世界で受け入れられている証拠です。
2020年度に向けた攻めの姿勢と今後の展望
次期となる2020年10月期の業績予想では、売上高を1441億円、純利益を38億円と見込み、増収増益への転換を目指しています。くら寿司は今後も国内外での積極的な新規出店を継続する方針を打ち出しました。攻めの投資を緩めない姿勢からは、ブランド再建に対する並々ならぬ決意が感じられます。コスト管理と売上回復の両立が、今後の経営の鍵を握るはずです。
編集者の視点から申し上げますと、くら寿司の復活には「デジタル化による省人化」と「信頼の再構築」が不可欠でしょう。人件費が高騰し続ける中で、ITを駆使した効率的な店舗運営はもはや避けて通れません。同時に、バイトテロのような不祥事を防ぐための教育体制の刷新が期待されます。逆境をバネに、どのような進化を遂げるのか、2020年の動向から目が離せません。
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