「飛び恥」を越えて。欧州航空業界が挑む、地球に優しい「カーボンオフセット」と代替燃料の最前線

今、ヨーロッパの空に大きな変革の波が押し寄せています。環境意識が非常に高い消費者の間で、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い飛行機での移動を控える動きが強まっているのです。この現象は「飛び恥(フライトシェイム)」という刺激的な言葉で表現され、人々の交通手段選びに劇的な変化をもたらしています。

SNS上では、環境活動家のグレタ・トゥンベリ氏の行動に触発された若者を中心に、「鉄道の旅こそがクールだ」という投稿が急増しました。スウェーデンでは2019年1月1日から2019年11月30日までの国内航空旅客数が、前年同期比で9%も減少したと報告されています。航空会社にとって、これは決して無視できない深刻な事態と言えるでしょう。

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排出量を相殺する「カーボンオフセット」の導入

こうした逆風に対し、ドイツのルフトハンザ航空は、2020年1月1日から画期的な取り組みをスタートさせます。それは法人顧客の契約料金を引き上げ、その増分を環境保護プロジェクトへ寄付するという仕組みです。これはいわゆる「カーボンオフセット」と呼ばれる手法で、排出したCO2を別の場所での削減活動で埋め合わせることを指します。

具体的な寄付先は、ニカラグアの森林再生やルワンダの再生可能エネルギー事業など多岐にわたります。また、個人客向けには2019年夏の時点で、寄付額を自由に選択できるシステムが既に導入されています。例えばフランクフルトとパリを往復する場合、約360円(3ユーロ)の寄付で、環境への罪悪感を和らげることが可能になるのです。

格安航空大手の英イージージェットも、2020年9月30日までに約36億円を投じて、全便での「カーボンニュートラル」を目指すと発表しました。これは排出量と吸収量をプラスマイナスゼロにする考え方です。まずは植林への寄付から始め、将来的にはハイテクな技術導入も視野に入れているようで、業界の意気込みが感じられます。

次世代を担う「代替燃料」への挑戦

さらに注目すべきは、燃料そのものをクリーンにする動きです。KLMオランダ航空は、フィンランドのネステ社と協力し、使い古された食用油を原料とした「代替燃料」の採用拡大に乗り出しました。この燃料は、従来の化石燃料に比べてCO2排出量をなんと8割も削減できるという、驚くべきポテンシャルを秘めた魔法のようなエネルギーなのです。

しかし、課題も残されています。代替燃料のコストは通常の1.5倍から2倍と非常に高価であり、導入はまだ一部の便に限られているのが現状です。国土交通省のデータによれば、1人の移動におけるCO2排出量は鉄道が19グラムなのに対し、航空は96グラムと大きな差があります。この「数字の壁」をどう乗り越えるかが、今後の大きな焦点となるはずです。

私個人の意見としては、カーボンオフセットはあくまで補完的な手段であり、本質的な解決には代替燃料の技術革新が不可欠だと考えます。単に「お金で解決する」という批判を浴びないためにも、航空各社にはより透明性の高い情報公開が求められるでしょう。空の旅が再び「誇れるもの」になる未来を、切に願ってやみません。

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