2020年1月1日、私たちは「サイボーグ元年」とも呼ぶべき革新的な時代の幕開けを迎えました。今、先端テクノロジーと身体が融合し、人間の限界を超える「超人化」の足音が聞こえ始めています。その象徴となるのが、今年日本で開催される東京パラリンピックです。かつてない熱狂が予想される中、スポーツの概念そのものが科学の力で劇的に進化しようとしています。
男子400メートルハードルの日本記録保持者である為末大さんは、技術の介入がスポーツに新たな可能性をもたらすと確信しています。SNSでは「義足や車いすが格好いいガジェットに見える時代が来た」といった声が上がっており、若年層を中心にテクノロジーへの関心が高まっています。障がいを補うだけでなく、能力を拡張させる未来がすぐそこまで来ているのです。
日常を競技に変える!国際大会「サイバスロン」の熱き挑戦
スイス連邦工科大学チューリヒ校のロバート・リーナー教授が提唱した「サイバスロン」という大会をご存知でしょうか。これは、障がいを持つ「パイロット」と技術者がタッグを組み、最先端の補助デバイスを駆使して日常生活の動作を競う国際的な祭典です。2016年にスイスで初開催され、世界中に大きな衝撃を与えたこの大会が、2020年に再びスイスの地で開催されることが決定しました。
競技種目は、脳から出る電気信号で直接PCを操作する「脳コンピュータインターフェース(BCI)」や、モーターを内蔵した「電動義手」など、SF映画のような6種目から構成されます。洗濯物を干す、階段を昇降するといった、私たちが普段意識せずに行う動作が競技の舞台となります。これこそが、単なるスピードを競う以上の価値を社会に提供するのです。
慶應義塾大学のチーム「フォルティッシモ」は、電動車いす部門で世界3位に食い込む実力派として注目されています。彼らは2019年5月の日本大会を経て、現在はパイロットの野島弘さんと共に2020年のスイス本大会に向けた改良に余念がありません。開発者と利用者が密に語り合うこの場は、技術を「道具」から「身体の一部」へと昇華させる重要なプロセスとなっています。
バリアを突破するテクノロジー!東大発スタートアップの野心
「障害が障害でなくなる世界」を目指し、研究に情熱を注ぐのは大学だけではありません。東京大学発のスタートアップ「BionicM(バイオニックエム)」を率いる孫小軍社長は、自らも義足ユーザーであり、2016年のサイバスロンを現地で目撃して人生が変わった一人です。階段の上り下りという高い壁を技術で乗り越える姿に感動し、自らも2020年の大会への参戦を表明しました。
彼らが挑むのは「電動義足」の種目です。従来の義足とは異なり、モーターとセンサーによって歩行を能動的にサポートするこの技術は、利用者の肉体的負担を劇的に軽減します。街中の段差や急な坂道など、公共施設を一歩出れば今なお残る物理的な障壁を、彼らの開発するデバイスが鮮やかに無効化してくれる日が待ち遠しくてなりません。
一方で、スポーツ界には科学の介入を「純粋な実力ではない」と敬遠するアレルギー反応があるのも事実です。しかし、パラ陸上の池田樹生選手のように、最新の義足を使いこなすために血の滲むようなトレーニングを積む姿は、紛れもなくアスリートそのものです。道具と人間が互いに高め合うことで、従来の五輪を超える「パラ超越」の瞬間を私たちは目撃するでしょう。
私たちが注目すべきは、これらが一部のトップアスリートだけのものではないという点です。東京大学の稲見昌彦教授が提唱する「超人スポーツ」は、年齢や障がいの有無を問わず、誰もがテクノロジーで「超人」になれる未来を提示しています。ガンダムを操縦するように、誰もが身体の制約から解き放たれる。2020年は、そんな夢が現実へと変わる記念すべき一年になるはずです。
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