2016年の国民投票から3年半という長い月日が流れ、イギリスの進むべき道がついに決定づけられました。2019年12月12日に投開票が行われた総選挙では、ボリス・ジョンソン首相率いる保守党が圧倒的な勝利を収めています。この結果は、出口の見えない「ブレグジット(EU離脱)」という混迷した状況に終止符を打ちたいという、国民の切実な願いが反映されたものと言えるでしょう。
一方で、中途半端な立場をとり続けた労働党は大きく議席を減らす結果となりました。SNS上では「ようやく決まったか」という安堵の声が上がる一方で、「国の形が変わってしまう」という将来への強い不安も渦巻いています。今回の選挙は単なる政権選択ではなく、イギリスという国家が歴史的な転換点に立ったことを象徴しているのです。残留を望んでいた人々のかすかな期待は、この結果によって完全に消滅したといっても過言ではありません。
注目すべきは、英国内で深まる深刻な「イデオロギーの分断」です。保守党が右傾化を強める中、労働党は主要産業の国有化を訴えるなど左派色を鮮明にしており、両者の隔たりはかつてないほど広がっています。さらに、イングランドとスコットランドなど、地域間の対立も激化しているのが現状です。独立を求める声が強まるスコットランドの動向次第では、ジョンソン首相が「連合王国最後の首相」になるという衝撃的な未来すら現実味を帯びています。
自由貿易協定(FTA)の壁と国際社会に与える影響
2020年1月31日までに離脱協定が議会を通過することは、もはや確実な情勢です。しかし、離脱したからといってすべてが解決するわけではありません。ジョンソン首相は、2020年12月末までの「移行期間」を延長しないと宣言していますが、この短期間でEUとの「FTA(自由貿易協定)」を締結するのは至難の業です。FTAとは、特定の国や地域間で関税を撤廃し、貿易を自由に行うための約束事ですが、これには膨大な交渉時間が必要となります。
もし交渉が間に合わなければ、再び「合意なき離脱」という経済的混乱を招くリスクが浮上します。首相はバラ色の未来を掲げていますが、それが現実と乖離したとき、国民の期待は政治への激しい怒りに変わる恐れがあるでしょう。また、これまではアメリカとヨーロッパの橋渡し役を担ってきたイギリスがEUを去ることで、世界のパワーバランスも劇的に変化します。国際社会がさらなる分裂へと向かう予兆を、私たちは今まさに目の当たりにしているのです。
個人的な見解を述べれば、今回の選挙結果は「民意の集約」であると同時に、イギリスという国が持つ多様性が失われるリスクを孕んでいると感じます。経済や外交の地位低下が懸念される中、誇り高き島国がどのように再起を図るのか。世界中が注視する中で、私たちはこの「歴史の目撃者」として、2020年以降の激動の展開を冷静に見守る必要があるでしょう。
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