ジュエリーブランドとしてお馴染みの「4℃」を運営するヨンドシーホールディングスが、2020年1月7日に2019年3〜11月期の連結決算を発表しました。今回の発表によると、最終的な儲けを示す「純利益」が前年の同じ時期と比べてなんと2.5倍の20億円にまで膨らんだそうです。この驚異的なV字回復に対して、SNS上では「4℃って最近アパレルも強いんだ!」「ブライダルだけじゃない底力を見た」といった驚きと称賛の声が多数寄せられています。
今回の好決算の背景には、これまで経営を支えてきたジュエリー事業に代わり、衣服を扱うアパレル事業が大きな原動力となった点が挙げられます。さらに、前年同期に足を引っ張っていた税金面での負担が減少したことも、利益を大きく押し上げる要因となりました。前年は総合スーパーを運営する「フジ」の株式を一部手放したことで、一時的に税金コストが膨らんでいましたが、そのマイナス要因が消えたことで本来の稼ぐ力が数字に表れた格好です。
一方で、企業全体の売上高自体は前年同期比で1%減の327億円と、ほぼ横ばいから微減の結果となりました。これは、2019年10月に実施された消費税率の引き上げが大きく影響しています。増税直前の2019年9月には「駆け込み需要」と呼ばれる、値上がり前に買っておこうとする消費者の動きによって、既存店の売上高が前年同月比24%増と一時的に跳ね上がりました。しかし、その反動は想像以上に大きかったようです。
実際に増税が行われた2019年10月の既存店売上高は約20%減、続く2019年11月も10%強の減少となり、ブライダルやギフト需要が中心のジュエリー事業は苦戦を強いられました。高価格帯の商品は増税の影響をダイレクトに受けやすいため、この反動減は仕方のない側面もあります。ただ、トレンドに左右されやすい宝石ビジネスにおいて、このように外的要因で売上が乱高下するリスクへの対策は、同社にとって今後の大きな課題と言えるでしょう。
こうした主力事業の落ち込みを完璧にカバーしたのが、絶好調のアパレル事業です。同社は自社ブランドだけでなく、他の衣服メーカーから依頼を受けて商品の企画や生産を一括して引き受ける「法人事業」を展開しています。今回はこの分野で生産管理能力、つまり無駄なコストを省いて効率よく製品を作る仕組みが強化され、利益を生み出す力が劇的に改善しました。さらに、低価格が魅力の「パレット」の店舗数を増やしたことも成功しています。
また、本業の儲けを示す「営業利益」は1%増の30億円を確保しました。これはアパレルの健闘だけでなく、ジュエリー事業で利益の出ていない「不採算店舗」を思い切って閉鎖した効果でもあります。お店を減らすことで、そこで働くスタッフの人件費やお店の家賃といった固定費を大幅に削ることに成功したのです。ただ店舗を増やすだけでなく、時代に合わせて効率的な経営へと舵を切った経営陣の判断は、非常に見事だと私は評価します。
今後の見通しについて、同社は2020年2月期の通期業績予想を据え置きました。これからもアパレル部門が引っ張る形で、売上高は前の期と比べてわずかに増える473億円、純利益は39%増の34億円となる見込みです。ブライダルジュエリーなどの高級品がどこまで復調するかは不透明ですが、生活に身近なカジュアル衣料と効率的な店舗運営が確立された今、同社が安定して成長を続ける可能性は極めて高いと期待を寄せています。
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