世界的な人口増加に伴い、近い将来に深刻な食糧危機が訪れるのではないかと懸念されています。そんな中、最先端のテクノロジーを駆使して「昆虫」を食品生産に役立てようとする革新的なスタートアップ企業が日本で次々と誕生し、熱い視線を集めているのをご存じでしょうか。欧米を中心に先行していたこの画期的なトレンドは、いまや日本国内にも本格的な波となって押し寄せています。
福岡市で創業した株式会社ムスカは、イエバエというハエの幼虫が持つ驚異的な分解能力を活用し、家畜の排せつ物をわずか1週間ほどで高品質な有機肥料へと生まれ変わらせる画期的なバイオ技術を開発しました。同社は2019年12月中旬に東京の渋谷で試食会を開催し、この肥料で育てられた瑞々しいトマトやキュウリを披露しています。参加した農家や百貨店のバイヤーら約70人からは、その味わいに「おいしい」と絶賛の声が上がりました。
実際にこの肥料を用いて宮崎県でコメ栽培を行う農家からは、収穫量が増加しただけでなく、作物が病気に強くなったという驚きの報告も届いています。SNS上でも「ハエと聞くと驚くが、持続可能な農業の救世主になるかもしれない」「未来の農業の形として応援したい」といった前向きな反響が広がっており、環境意識の高い層を中心に注目度は抜群です。
ムスカは2020年春にも、この昆虫技術で栽培した野菜の試験販売をクラウドファンディングで開始する予定です。クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人々から少額ずつ資金を募る仕組みのことで、生活者の支持をダイレクトに反映できる画期的な手法と言えます。大手商社や銀行からの出資も受けている同社の挑戦は、農業の生産効率を劇的に高める可能性を秘めており、大いに期待が高まります。
一方、もう一つの大注目株が2019年11月に設立された合同会社ジョインアースです。彼らが開発したのは、従来の大豆の代わりに、高たんぱく質な養殖コオロギを発酵させて醸造する世界初の「コオロギ醤油」です。昆虫をそのまま食べる昆虫食には心理的抵抗がある方でも、日本の伝統的な調味料である醤油として形を変えることで、驚くほど受け入れやすくなるという素晴らしいアイデアですね。
この醤油は、徳島大学などが養殖した「フタホシコオロギ」を原材料に使用しています。昆虫ならではの強いうまみと香ばしさが引き立ちつつも、くせが少なくまろやかな風味に仕上がっており、白身魚などのお刺身との相性が抜群だそうです。現在はクラウドファンディングの専用サイトで予約販売がスタートしており、薄口と濃い口の2種セット(各100ミリリットル)が5000円で提供され、2020年7月に発送される見込みとなっています。
ネット上では「どんな味がするのか純粋に試してみたい」「次世代の調味料として食卓の定番になるかも」といった好奇心溢れるコメントが飛び交っています。コオロギは与える餌によって醤油の風味も変化する性質があるため、同社は購入者のフィードバックを反映させながら、さらなる本格的な流通商品の開発を目指していく方針を掲げています。
国連の予測によると、世界の人口は2019年の77億人から、2050年には約26%増の97億人に達すると言われています。この急激な人口増加と途上国の経済発展は、深刻なタンパク質不足、いわゆる「プロテインクライシス」を引き起こすと言われており、その解決策として食用昆虫の市場規模は2030年に8600億円にまで達する見通しです。
昆虫を活用したビジネスは、単なる奇抜なアイデアではなく、地球規模の課題を解決するための極めて真面目で持続可能なバイオテクノロジーの挑戦です。私たちの食生活を守り、地球環境への負荷を減らすための新たな選択肢として、こうした日本発の昆虫テクノロジー企業が世界をリードしていく日を楽しみに待ちたいと思います。
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