西日本豪雨から1年半の現在。仮設住宅で暮らす2900世帯の切実な現実と、私たちが向き合うべき長期避難への課題

2018年07月に発生し、各地に甚大な被害をもたらした西日本豪雨。最初の特別警報が発令されてから、2020年01月06日でちょうど1年半という節目を迎えました。時の経過とともに復興が進んでいるかのように見える一方で、今なお厳しい現実に直面している被災者の方々が数多くいらっしゃいます。

岡山県、広島県、愛媛県の3県では、現在も約2900世帯、合計で6600人もの方々が仮設住宅での生活を余儀なくされています。1年前の状況と比較すると、避難者の数はほぼ半減したものの、依然としてこれだけ大勢の命が「仮の住まい」で冬を越しているという事実は重く受け止めるべきでしょう。

SNS上でもこの現状に対して、「もう1年半も経つのに、まだこんなに多くの人が苦しんでいるなんて」「風化させてはいけない」といった、驚きや懸念の声が数多く寄せられています。被災地の外にいるとつい忘れがちになってしまいますが、当事者にとっては今もなお、現在進行形の苦難が続いているのです。

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立ちはだかる「2年の壁」と生活再建への厳しい見通し

ここで大きな問題となっているのが、仮設住宅の「入居期限」です。原則として入居期間は2年と定められているため、被災者の方々は2020年08月以降、順次その期限を迎えることになります。しかし現状では、期間内の退去が極めて困難な世帯が続出する見通しとなっています。

各県への取材によると、広島県では少なくとも約2割、愛媛県でも1割弱の世帯が期限を超えてしまう可能性が高まっています。また、最も避難者が多い岡山県にいたっては、具体的な数こそ未確定なものの、先行する2県をさらに上回る規模で長期化するのではないかと懸念されている状況です。

これを受けて政府は、2019年12月に入居期限の延長を閣議決定しました。閣議決定とは、内閣総理大臣と各大臣が集まる会議で政府の方針を一致させる手続きのことです。国が動いたことで首の皮一枚つながった形ですが、裏を返せば、それほど事態が深刻化している証拠と言えます。

なぜ自宅に戻れないのか?背景にある工事の遅れと人手不足

元の場所で自宅を再建したいと強く願っていても、それが叶わない背景には構造的な問題が存在します。まずは、土砂崩れを防ぐための砂防工事や、決壊した河川の堤防整備といったインフラの災害対策工事が、いまだに完了していないエリアが多いためです。

国土交通省などの計画では、これらの安全を確保する基礎的な工事の完了目処が、2020年度から2023年度にかけてと想定されています。つまり、住まいを建て直したくても、土地そのものの安全が確保されていないため、着工すらできないというジレンマに陥っているわけです。

さらに、地元の建設業界における圧倒的な人手不足も拍車をかけています。大工さんや業者の確保が追いつかず、順番待ちの間に期限が切れてしまう被災者も少なくありません。こうした「本人の努力ではどうにもならない不条理」が、長期化の根底に横たわっています。

命を守り続けるために私たちが今考えるべきこと

西日本豪雨における災害関連死は、3県で合計67人にまで増加し、犠牲者は全体で14府県、289人に達しています。災害関連死とは、地震や豪雨の直接的な被害ではなく、避難生活のストレスや持病の悪化、体調不良などが原因で命を落としてしまう痛ましい事象を指す言葉です。

私はこの数字を見るたびに、胸が締め付けられるような思いがいたします。家を失ったショックに加え、先の見えない仮設住宅での暮らしが、いかに人々の心身を蝕んでいるかが窺えるからです。コミュニティの分断や高齢者の孤立を防ぐケアは、一刻の猶予も許されません。

インフラの復旧に数年単位の時間がかかる以上、今後は「長期避難を前提としたケア」へ完全にシフトする必要があります。行政による一律の支援だけでなく、私たち一人ひとりが関心を持ち続け、被災された方々の心に寄り添う支援の輪を広げていくことが、今こそ求められているでしょう。

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