パーティーの風船でおなじみのヘリウムガスが、今まさに日本の科学技術を揺るがす深刻な事態に直面しているのをご存知でしょうか。日本物理学会や日本天文学会、東京大学など47もの研究機関が共同で、ヘリウムの深刻な供給不足に対する危機感を募らせ、政府へ対策を呼びかける異例の声明を発表いたしました。身近な存在に思える成分ですが、実は日本の最先端医療やハイテク産業を支える生命線でもあるのです。
このニュースが報じられると、SNS上でも驚きや懸念の声が次々と上がりました。「風船だけでなく、医療用のMRIも止まってしまうのではないか」という不安の声や、「日本が100パーセント輸入に頼っていたなんて知らなかった」といった驚きの投稿が相次いでいます。研究者と思われるアカウントからは、現場でのやりくりがいかに限界を迎えているかを生々しく訴える声も寄せられており、注目度の高さがうかがえます。
最先端技術の生命線!なぜヘリウムがそこまで重要なのか
ここで、専門用語である「極低温の冷媒(れいばい)」について分かりやすく解説しましょう。冷媒とは、対象を冷やすために用いられる物質のことで、ヘリウムはマイナス269度という、宇宙空間並みの究極の冷たさを実現できる地球上で唯一の物質なのです。この驚異的な冷却能力があるからこそ、電気抵抗がゼロになる「超電導(ちょうでんどう)」という現象を起こすことが可能となり、最先端の半導体製造や医療現場のMRIを稼働させることができます。
これほど重要な資源であるにもかかわらず、東京大学物性研究所が2019年07月に実施した調査では、衝撃的な実態が明らかになりました。多くの研究機関が、ヘリウムの取引価格が前年度に比べて2倍に跳ね上がったと回答し、中にはお金を出しても全く購入できなかったという悲痛なケースも報告されています。もはや研究費の圧迫というレベルを超えて、日本の科学技術の発展そのものがストップしかねない瀬戸際に立たされているのです。
世界的な需要爆発とアメリカの戦略!日本が直面する資源リスク
物理学会の勝本信吾副会長は、過去の一時的な供給の遅れとは異なり、今回はアジア圏を中心とした世界的な需要の拡大が原因だと分析しています。特に近年、中国などの急速なハイテク産業の成長に伴ってヘリウムの争奪戦が激化しているようです。さらに、世界最大の生産国であるアメリカ合衆国が供給量を制限していることも、日本への調達をさらに難しくしている要因に挙げられるでしょう。
日本はヘリウムの全量を海外からの輸入に依存しているため、国際情勢の荒波をまともに受けてしまいます。使ったガスを集めて再び液体に戻せば再利用できるのですが、それを実現するための高価な液化施設を持つ施設は国内にほとんど存在しません。そのため学会側は、資源を効率よく循環させるために高圧ガスを扱う際の法規制を緩めることや、国内に長期的な国家備蓄基地を建設することを強く提案しています。
編集部の視点:今こそ国を挙げた「資源の自給自足」への転換を
今回の危機を通じて、日本のハイテク立国としての足元が、いかに他国への依存の上に成り立っていたかが浮き彫りになりました。私は、この問題を単なる研究現場の不運として片付けるべきではないと考えております。科学技術の進歩は私たちの未来への投資そのものであり、ヘリウムの安定確保は国家の安全保障にも直結する最優先課題です。
政府は研究現場のSOSを真摯に受け止め、規制緩和や備蓄基地の整備へ向けて一刻も早く具体的な行動を起こすべきでしょう。最先端の研究がストップすることは、日本の将来の競争力を失うことに直結しかねません。持続可能な研究環境を守るためにも、国と研究機関がワンチームとなり、資源を大切にリサイクルする仕組みを定着させることが強く望まれます。
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