日本の核燃料サイクルはどこへ向かう?日仏の高速炉開発「アストリッド計画」予算見直しがもたらす未来への分岐点

エネルギー資源の大部分を海外からの輸入に頼る日本にとって、将来の電力安定供給を左右する「核燃料サイクル政策」が、今まさに大きな過渡期を迎えています。2020年01月06日、梶山弘志経済産業相は閣議後の記者会見において、フランスと共同で進めてきた高速炉の実証炉開発プロジェクト「アストリッド(ASTRID)計画」の建設費を、2020年度の予算案に盛り込まなかったことを明らかにしました。

高速炉とは、通常の原発よりもウラン資源を格段に効率よく利用でき、使用済み燃料からプルトニウムを再利用して再び発電を行える夢のような次世代の原子炉のことです。今回の予算見直しについて梶山経産相は、「今後の連携はシミュレーションや実験室レベルの検証に焦点を当てる」と説明しており、大型の実験施設を実際に建てることを目指した予算編成ではない点を強調しています。

共同研究の相手国であるフランスがアストリッド計画を大幅に縮小する方針へ舵を切ったことが、この決定の背景にあるのは間違いありません。2020年度の予算案には、日仏や日米の高速炉開発に関する技術開発費として、前年度とほぼ同額にあたるおよそ40億円が計上されました。しかし、実物を作らない研究への投資に対して、SNS上では「事実上のトーンダウンではないか」といった厳しい見方や懸念の声が広がっています。

一方で、これまで日本が培ってきた原子力技術の価値を再評価する声も少なくありません。会見の中で梶山経産相は、「安全対策や先端技術の研究は絶え間なく継続していく必要があり、日本の高い技術力はフランス側からも強く求められている」と力説しました。単なる開発の停滞ではなく、限られた予算のなかでより安全かつ現実的なルートを模索するための、戦略的な軌道修正であると捉えることもできるでしょう。

私はこの方針転換について、巨額の国費を投じるエネルギー政策として極めて冷静で妥当な判断であると考えます。これまでの「もんじゅ」の挫折の歴史を振り返っても、実証炉の建設には天文学的なコストと高いハードルが伴うため、まずはデジタル技術などを駆使した検証に注力するのは賢明な選択です。世界的な脱炭素の潮流のなかで、日本がどのようなエネルギーの未来図を描くのか、今後の具体的な研究成果に注目が集まります。

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