2019年冬の注目作5選!『ラスト・クリスマス』から『私のちいさなお葬式』まで、映画編集者が贈るシネマレビュー

2019年12月6日、寒さが本格的になるこの季節に、心を温めたり、時に鋭く突き刺したりする個性豊かな5つの映画が公開を迎えました。世界中で愛される児童文学の誕生秘話から、クリスマスを彩るラブストーリー、さらには波乱万丈な実話に基づいた人間ドラマまで、今チェックすべき作品が目白押しです。SNSでも「今年の冬は観たい映画が多すぎる」と話題になっており、映画ファンの熱気が伝わってきます。

まず注目したいのは、世界的な児童文学『長くつ下のピッピ』の生みの親を描いた『リンドグレーン』です。1907年から2002年までを駆け抜けたスウェーデンの女性作家、アストリッド・リンドグレーンの知られざる自立への苦難を、女性監督の視点から繊細に描き出しています。劇中では彼女の成功を象徴するように、子供たちから届いた手紙の声が物語を紡いでいく演出が非常に斬新で、彼女の作品がどれほど多くの魂を救ったのかが伝わるでしょう。

続いて、街が華やぐこの時期にぴったりの『ラスト・クリスマス』をご紹介します。ヒロインを演じるのは『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』でも知られる表情豊かなエミリア・クラークです。舞台はロンドン。多種多様な文化が混ざり合うこの街の聖夜を、ワム!の名曲がドラマチックに盛り上げます。ポール・フェイグ監督が手掛けるこのロマンチックな物語は、きっとあなたの凍えた心に優しい火を灯してくれるに違いありません。

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実話が放つ重厚な光と影、そして現代を生きる女性の葛藤

自動車業界の伝説に迫る『ジョン・デロリアン』も外せません。かつて一世を風靡したエンジニアの栄光と没落を、麻薬の運び屋から警察のスパイとなった男との奇妙な関係を通じて浮き彫りにします。セレブ生活の裏側に忍び寄る転落の足音は、観る者に息つく暇も与えない緊張感をもたらすでしょう。ニック・ハム監督が描く、追い詰められた男たちが下す決断の重みは、ビジネスマンにとっても見逃せない人間ドラマの神髄と言えます。

ロシアから届いた『私のちいさなお葬式』は、一風変わった「終活」を描いた作品です。突然の死を宣告された元教師の女性が、自らの葬儀のために奔走する姿は、悲哀の中にもシュールな笑いが込み上げます。「終活」とは人生の最期を迎える準備を指す言葉ですが、埋葬許可証までもぎ取ろうとする彼女の熱意は、どこか軽やかで清々しい余韻を残してくれます。死という重いテーマをブラックユーモアで包み込んだ、非常に洗練された映画です。

最後に、佐久間由衣さんが主演を務める『隠れビッチやってました。』を取り上げます。「隠れビッチ」とは、一見清楚でありながら計算高く異性を翻弄する女性を指す言葉です。本作の主人公はその振る舞いの裏に、父親との関係という非常にナイーブな問題を抱えています。演出に既視感を覚える部分もありますが、佐久間さんの圧倒的なビジュアルの美しさは、それだけでスクリーンに釘付けにする力を持っていると言えるのではないでしょうか。

個人的な見解を述べさせていただくと、今回のラインナップは「個人の尊厳」という共通のテーマが流れているように感じます。社会の荒波に揉まれながらも自分らしくあろうとするリンドグレーンや、死を前にしてなお主体性を失わないロシアの老婦人の姿は、情報過多な現代を生きる私たちに、何が本当に大切なのかを問いかけているようです。この冬、映画館の暗闇の中で自分自身と向き合う時間を作ってみてはいかがでしょうか。

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