米イラン対立が飛び火!イラク議会が迫る「米軍撤収」決議の衝撃と混迷の中東情勢

中東のパワーバランスが大きく揺らいでいます。イランの隣国であるイラクで2020年1月5日、緊迫した雰囲気の中で緊急議会が招集されました。そこで採択されたのは、駐留する米軍をはじめとした外国部隊の駐留を終わらせるという極めて異例の決議案です。米国とイランの激しい対立の火花が、ついにイラク国内から米軍を完全に追い出しかねない深刻な事態へと発展しました。SNS上でも「いよいよ第三次世界大戦か」「中東が火の海になる」といった、世界規模の衝突を懸念する緊迫した声が次々と投稿され、トレンドを席巻しています。

今回の緊急議会が招集された直接の引き金は、イラン革命防衛隊の精鋭組織「コッズ部隊」を率いるソレイマニ司令官が、イラクの首都バグダッドの国際空港で米軍に殺害された事件にあります。コッズ部隊とは、イラン国外での特殊作戦や親イラン勢力の支援を担う極めて強力なエリート軍事組織のことです。自国領土で他国の要人が白昼堂々殺害された形となったイラクにとっては、主権を著しく侵害された大事件であり、今回の決議にはイランによる米国への報復を間接的に後押しする強いメッセージが込められていると言えます。

今回の決議自体には法律のような強い拘束力はありません。しかし、イラクのアブドルマハディ暫定首相は採決を前にした議会演説で、外国部隊の駐留を終了させることはイラクと米国の双方にとって利益になると明言しました。そもそも米軍はイラク政府からの要請を受ける形で駐留しているため、当事国から「出て行ってほしい」と突きつけられた以上、今後の駐留を維持することは極めて困難になる見通しです。米国がこれまで築いてきた中東での足場が、根本から崩れ去ろうとしています。

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完全撤収がもたらす深い爪痕とイラク分断の危機

もし米軍が完全撤退するとなれば、イラクが抱える経済復興や政治改革、さらには過激派対策といった重要課題に壊滅的な影響が及ぶのは避けられません。現在、イラクには約5000人の米兵が駐留し、現地軍への助言やテロ抑止の要として機能しているからです。米国は2003年の軍事侵攻でフセイン独裁政権を倒して以来、莫大な資金と多くの市民や兵士の尊い犠牲を払ってこの国の復興に関与してきました。トランプ政権が進める強硬なイラン敵視政策は、皮肉にも自国の影響力を失墜させる結果を招いています。

イギリスのBBCテレビの報道によると、採択された決議には、過激派組織「イスラム国」通称ISを掃討するための国際有志連合への支援要請を無効化することや、外国部隊の駐留終了に向けた政府の努力、そしてイラクの主権を侵した米国への国連を通じた抗議などが盛り込まれました。しかし、この採決の裏では多数のスンニ派やクルド人の議員が参加をボイコットしており、イラク国内の深刻な宗派・民族対立の溝がさらに深まることは確実な情勢です。

フセイン政権崩壊後のイラクは、人口の多数を占めるイスラム教シーア派が主導権を握り、同じシーア派国家であるイランへと急速に接近していきました。地上部隊の派遣を嫌った米国が、IS掃討のためにやむを得ず親イラン派の民兵組織の力に頼ったことも、皮肉なことにイランの台頭を許す原因となっています。混迷を極める中東情勢において、米国のあまりにも短絡的な武力行使は、地域の安定を壊すだけでなく、中東の主導権をそのままイランへ譲り渡すという最悪のブーメランとなって返ってきていると言わざるを得ません。

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