2020年1月6日現在、京都府八幡市にある社会福祉法人「秀孝会」が、介護業界の常識を塗り替える画期的な取り組みで大きな注目を集めています。彼らが2019年3月に産声を上げさせたのは、なんと女子ソフトテニスの実業団チームでした。
「介護の仕事は体力的にきつく、人手不足が深刻」という世間のイメージを払拭し、エネルギッシュな若手人材を呼び込むための戦略といえるでしょう。現在、6名の部員が特別養護老人ホームでの業務に励みながら、コートの上でも「日本一」という高い目標を真剣に追いかけているのです。
午前は介護、午後はテニス。充実した「二刀流」の毎日
選手たちのスケジュールは非常に計画的です。2020年1月時点での日常を覗いてみると、彼女たちは午前7時30分から9時の間に出勤し、入浴や食事のサポートといった介護の最前線で爽やかに汗を流されています。
社会福祉法人とは、営利を目的とせず、高齢者福祉などの公共サービスを担う特別な法人のことです。ここで働く選手たちは午後3時にはキリ良く業務を終え、専用のワゴン車で練習拠点へと移動します。午後4時から7時までの3時間は、テニスに没頭する時間です。
土日に大会がある場合は「出張」として扱われ、平日に代休が確保されるなど、競技に専念できる環境が整っています。実際に2019年10月の全日本選手権大会では、初出場ながら3位入賞という快挙を成し遂げており、その実力は折り紙付きでしょう。
競技者のキャリアを守り、業界の未来を創る挑戦
かつては日本中で隆盛を極めた「実業団(企業が運営するスポーツチーム)」ですが、近年は廃部が相次いでいます。全日本レベルの実力があっても、卒業後のプレー環境が見つからずに競技を断念する選手も少なくないのが現状です。
秀孝会は、そんなアスリートたちの夢を繋ぎ止める大切な受け皿としての役割を担っています。さらに特筆すべきは、引退後のセカンドキャリアまでを見据えた支援にあります。藤田理事長は、選手全員に介護職員向けの公的な資格を取得させているのです。
これは、選手としてのピークを過ぎた後も、介護の専門家として社会で活躍し続けられるという安心感に繋がるはずです。スポーツを通じて培った精神力や協調性は、介護現場でも大きな武器となり、選手の将来的な選択肢を確実に広げていくことでしょう。
SNSでも話題!職場に活力をもたらす新しい風
インターネット上では「介護とスポーツの組み合わせは面白い」「こうした企業がもっと増えてほしい」といった温かい応援の声が目立ちます。試合の日には、施設の仲間たちがバスを仕立てて応援に駆けつけるなど、現場にポジティブな変化が生まれている模様です。
ソフトテニス部の運営には年間600万円の予算が投じられています。経営面だけを見れば大きなコストですが、高額な人材紹介手数料を支払うよりも、自前で夢を持った輝く人材を育てるという投資は、非常に理にかなった賢明な判断だと私は確信しています。
好きなことを全力で続けられる環境があるからこそ、仕事にも誇りを持って取り組める。こうした秀孝会の挑戦は、人手不足に悩むあらゆる業界にとって、これからの「働き方改革」のヒントが詰まった素晴らしいロールモデルになるのではないでしょうか。
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