世界最大を誇る中国の自動車市場が、今まさに大きな曲がり角を迎えています。新車販売の記録的な落ち込みが続いており、これが中国全体の経済を大きく下押しする要因になるのは確実視されている状況です。かつてのような右肩上がりの成長に陰りが見える中、現地からは悲痛な叫びが聞こえてきます。この冷え込みは一時的なものではなく、構造的な変化を予感させるほど根深いものであり、今後の世界経済への波及も懸念されます。
SNS上でも「中国での車離れがこれほど深刻だとは思わなかった」「現地サプライヤーへの影響が心配」といった、驚きや今後の展開を不安視する声が数多く飛び交っています。自動車産業は、部品製造や物流、販売店といった広範な関連産業を含めると、国内総生産(GDP)の約1割を占めるという巨大な基幹産業です。GDPとは、その国の中で一定期間に新しく生み出されたモノやサービスの合計価値のことで、国の経済の体力を表す重要な指標です。
それだけに、政府も雇用の安定を守るために必死の支援に動き出さざるを得ないのが現状です。象徴的なのは、アメリカのフォード・モーターと現地の国有大手である重慶長安汽車との合弁会社の動きでしょう。こちらの会社では旧正月に向けて、重慶工場などで再び大規模な人員削減に踏み切りました。2019年の同時期にも約1割の雇用をカットしていましたが、現場関係者の話によると、2020年も同等以上の規模で人員整理が進められています。
長安フォードの2019年における生産実績は、2018年の約半分となる20万台にまで減少しており、ピークだった2016年と比較するとわずか2割という驚くべき水準にまで落ち込んでしまいました。地元政府は雇用を何とか維持するため、2019年8月に約20億円もの巨額の資金支援を行いましたが、それでも深刻な販売不振に歯止めがかからない様子がうかがえます。国や地域がバックアップしても太刀打ちできないほどの逆風が吹いています。
自動車産業が集中している重慶市では、長安汽車の独自ブランドも軒並み苦戦を強いられているのが実態です。ほかにも、韓国の現代自動車の合弁会社が現地に工場を構えているものの、その稼働率は著しく低い水準にとどまっています。さらに、フランスのグループPSAは長安汽車との合弁事業から完全に撤退することを決定しました。外資系メーカーが中国市場での生き残りを諦め、舵を切り直す動きが相次いで顕在化しています。
現地メディアの報道によると、民間の華泰汽車集団は販売の低迷を受けて、山東省などにある3つの工場の稼働を急きょ停止する事態に追い込まれました。また、人民解放軍の工場をルーツに持つ湖南猟豹汽車も経営難に直面しており、こちらは地元政府などから緊急の資金支援を受けて急場をしのいでいます。このように、外資だけでなく地元の独立系メーカーまでもが等しく過酷な冬の時代を迎えており、市場の淘汰はこれからさらに加速するでしょう。
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