2020年のオリンピックイヤーを迎え、日本中が熱気に包まれるなか、気になるニュースが飛び込んできました。国立感染症研究所が2020年1月15日に発表したデータによると、2019年の1年間における「デング熱」の患者数が461人に達し、1999年の統計開始以来で過去最多を記録したのです。これまでの最多だった2016年の342人を大きく上回る結果となり、SNS上でも「オリンピックの夏が心配」「蚊の対策を徹底しなきゃ」と、警戒を強める声が数多く投稿されています。
デング熱とは、熱帯や亜熱帯地域で主にみられる感染症で、ウイルスを保有する蚊に刺されることで引き起こされます。感染すると急激な発熱や激しい関節痛、そして全身に発疹が出るのが特徴です。実は、2019年に報告された患者の多くは、大流行が起きていたフィリピンやカンボジア、タイ、ベトナムなどの東南アジア地域から帰国、または入国した人々でした。現地でウイルスを媒介する蚊に刺され、日本に到着したあとに相次いで発症したとみられています。
見逃せないのは、海外への渡航歴がないにもかかわらず、日本国内で感染したとみられる患者が3人報告された点でしょう。具体的には、2019年9月に修学旅行で京都や奈良を訪れた東京都内の学生たちです。彼らは国内でウイルスを持った蚊に刺されて発症したと考えられます。日本国内での集団感染といえば、2014年に東京の代々木公園を中心に発生した大騒動を思い出す方も多いのではないでしょうか。今回の事態は、決して他人事ではないリスクを物語っています。
さらに、デング熱とよく似た特徴を持つ「チクングニア熱」の患者も、2019年は49人に上り、2011年の調査開始以降で最多となりました。こちらも蚊がウイルスを媒介する病気で、デング熱と同様に特効薬や効果的なワクチンが今のところ存在しません。世界中から多くの観光客が訪れる2020年の東京五輪・パラリンピックは、まさに蚊が活発に動く夏場に開催されます。人の往来が激しくなれば、それだけウイルスが国内へ持ち込まれる可能性も高まるはずです。
グローバル化が進む現代において、感染症の流入を完全に防ぐことは不可能です。だからこそ、私たち一人ひとりの高い防衛意識が求められます。夏場の外出時には虫よけスプレーを活用し、肌の露出を控えるといった基本的な対策が命を守る選択になるでしょう。医療機関側も、渡航歴のない患者の突発的な発熱に対してデング熱を疑うなど、迅速な検査体制を整えるべきです。華やかな五輪の影に潜むリスクを直視し、社会全体で備えを万全にしたいものです。
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